
女子栄養大学は2026年度から共学化し、男子生徒に門戸を開く。多くの女子大学が大幅定員割れを続ける中、学生が集まる女子大の一つであり、管理栄養士の国家試験合格者数で全国1位の座に君臨し続ける実績もある。それでも香川明夫学長(香川栄養学園理事長)は、今まで通り管理栄養士を養成するだけでは社会のニーズに応えきれなくなるという、看板を下げるような発言をしてみせた。栄養学に特化した大学が生き残る条件は何なのか。連載『教育・受験 最前線』では、香川学長インタビューの後編をお届けする。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
大学のキャンパスは埼玉
「都心回帰」はあるのか?
――2026年度に女子栄養大学を共学化した後、男子生徒のニーズにも応える学部・学科を検討しているとおっしゃいました(『女子大が「共学化」ラッシュ!女子栄養大の学長へぶしつけに聞いてみた「共学化したところで、男子学生は入ってきますか?」』参照)。女子栄養大は埼玉の坂戸キャンパス、短期大学と専門学校は東京の駒込キャンパスが拠点になっています。大学で新たな取り組みをするとき、学生を集めやすい都内の駒込キャンパスを活用するほうが効果的では?
駒込キャンパスは有効活用していきたいです。視野を広げると、飢餓や衛生問題といった食に関する課題がアジアは山のようにある。中国のとある省などから学生を送り込みたいという連携の申し出もあって、そうしたことを含めて検討していくことになります。
――これまで留学生は受け入れてきたんですか。
大学院が中心で、学部にはあまりいません。日本では管理栄養士が病院での食事の管理を担い、病院が受け取る診療報酬に反映されます。では留学生は国に戻ったとき、どんな仕事をするのか。仕事に活かせず学び損にならないか。海外からの視察団には、養成した栄養士を受け入れる仕組みが必要であるとお話ししています。
――手放しで受け入れるわけではないんですね。いろいろな動きを水面下で進めていく中、他の大学のように都心回帰で駒込キャンパスに「全面移転」する考えは?