東の津田塾大学、東京女子大学、日本女子大学、西の京都女子大学、同志社女子大学、神戸女学院大学という東西の「女子大御三家」が栄華を誇った時代は終焉した。では、現代において女子大御三家を「食う」大学とは?特集『大学 地殻変動』(全21回)の#8では、女子大について、ベネッセコーポレーションの協力で1982年以降42年間の偏差値の推移をまとめ、大学通信の協力で一般選抜入試の実質倍率を10年前と比較した。(ルートマップマガジン社取締役・編集長 西田浩史、ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
私立女子大の最高峰で
偏差値2ケタ下落
女子大学が苦境に立たされて久しい。これまでにも閉校を前提にした募集停止、共学化などが繰り返されてきた。最近では恵泉女学園大学と神戸海星女子学院大学が2024年度以降の募集を停止、神戸親和女子大学や鹿児島純心女子大学が共学化した。募集停止は付属の中高を守るために、不採算部門の大学を削る判断といえる。
統合も一つの選択肢で、今夏には学習院女子大学が学習院大学と統合されることが発表された(本特集#4『学習院が女子大を統合「10年前から将来計画を考えていた」学習院院長がメディアに初激白!』参照)。同志社女子大学、甲南女子大学、西南女学院大学なども同グループや関係の深い共学の大学があり、学習院と同じ道を決断する可能性は大いにある。
18歳人口が減少し、女子学生の共学志向が強まる中、全国に70弱ある女子大がそろって生き残れるわけがないのは自明である。生き残りが難しいのは共学においても同様だが、共学の有名難関大の偏差値を見ると、総じてレベルを落としてはいない。
しかし女子大では、私立女子大の最高峰で、昔は「女の東大」とまで呼ばれた津田塾大学、西の私立女子大で最高峰だった神戸女学院大学といったトップレベルで偏差値が大幅に下落している。親世代が受験生だった1992年と比較すると、それぞれの主力学部の偏差値は2桁も下落し、大学全体における一般選抜入試の実質倍率(受験者数÷合格者数)は2倍を大きく下回るレベルにまで低下しているのだ。
その一方で津田塾大を含む東の女子大御三家、神戸女学院大を含む西の女子大御三家を“食う”女子大もある。では、下克上組の共通点とは何なのか。
次ページでは、女子17大学における42年間の偏差値推移早見表、および入試倍率を掲載する。各大学における浮沈の理由と実情は、早見表に如実に表れている。