
実は日本の上場企業には「年収1億円以上」のビジネスパーソンが1199人もいる。果たして、どんな顔触れなのだろうか?報酬が、諸外国に比べて低過ぎるという指摘もあるだけに、年収が高いこと自体は批判されるべきではないだろう。ただ、業績や株式市場からの評価が振るわないにもかかわらず、1億円ももらっているのであれば、従業員や株主は心穏やかではいられないかもしれない。そこで、ダイヤモンド編集部では上場企業3890社を対象に、年収1億円以上の経営陣を調査、業界ごとに実名でのランキングを作成した。特集『「最新版」1億円以上稼ぐ取締役1199人の実名! 上場3890社「年収1億円以上幹部」ランキング』(全24回)の#9では、陸運業界の報酬ランキングを掲載する。(ダイヤモンド編集部 田中唯翔)
賃上げ著しい企業が多い陸運
年収1億円以上の役員15人!
「13.7%」
これは、2024年度の陸運業界の平均年間給与の前年度比増加率だ。帝国データバンクによると、鉄道会社や物流会社などから構成される同業界の伸び率は全産業の中で最も高い結果となり、全業種平均の3.0%を大きく上回った。
鉄道最大手の東日本旅客鉄道は、24年度の社員の平均年間給与が前年度比で5.7%アップ。他にも西武ホールディングス(HD)が25年度の大卒初任給を前年度から6万8000円増の32万円に引き上げるなど、鉄道会社の間では大きな賃上げの波が押し寄せている。
物流業界では賃上げができている企業とそうでない企業で、大きな格差が生じている。
宅配便事業で国内シェア2位の佐川急便を傘下に持つSGホールディングス(HD)は、24年度に平均年間給与が4.2%増加。他にも25年4月に日本郵便の子会社となったトナミホールディングスの伸び率は、8.6%に達した。
その一方で、日本通運を中核企業とするNIPPON EXPRESSホールディングス(HD)は24年度の年間平均給与が23年度の937万円から4.9%減少し、891万円となった。このように物流会社の中には賃上げができていないどころか、前年度から“賃下げ”状態になっている企業もある。
全体的には13.7%も給与が上がっているとはいえ、一部企業では賃下げしているケースも見られた。そんな陸運業界に「年収1億円以上」の経営幹部はどれほどいて、どんな顔触れなのだろうか?
ダイヤモンド編集部では、経営トップの会長、社長のみならず役員を対象に、年収1億円以上の高額な報酬を受け取っている人物を業界別に集計した。1社から複数人が記載される場合もある。また、本特集では高収入を単純に批判する狙いはない。ランキングには、年収額と併せて、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)、時価総額も掲載しているので、それらに「見合う年収」を得ているかの参考にしてほしい。
集計の結果、陸運業界で「年収1億円以上」は15人いることが判明した。全業界の平均38.7人の半分以下と少ないが、トップは、3.1億円ももらっていた。
では、上に登場したSGHD、NIPPON EXPRESS HD、西武HDといった企業の幹部たちは、幾らもらっているのだろうか。全業界の上場企業の平均と比較して水準は高いのだろうか。次ページで実名と共に一挙に見ていこう。