
実は日本の上場企業には「年収1億円以上」のビジネスパーソンが1199人もいる。果たして、どんな顔触れなのだろうか?報酬が諸外国に比べて低過ぎるという指摘もあるだけに、年収が高いこと自体は批判されるべきではないだろう。ただ、業績や株式市場からの評価が振るわないにもかかわらず、1億円ももらっているのであれば、従業員や株主は心穏やかではいられないかもしれない。そこで、ダイヤモンド編集部では上場企業3890社を対象に、年収1億円以上の経営陣を調査、業界ごとに実名でのランキングを作成した。特集『「最新版」1億円以上稼ぐ取締役1199人の実名! 上場3890社「年収1億円以上幹部」ランキング』(全24回)の#15では、鉄鋼業界の報酬ランキングをお届けする。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)
「2兆円買収」に成功した日本製鉄
橋本会長、今井社長の年収はいくら?
ものづくりを得意とする国内産業の中で、特に日本勢の強みとなってきたのが鉄鋼業だ。ほぼ全ての製造業に不可欠な素材である鉄を生産する鉄鋼業は、日本経済の成長を長年にわたって支えてきた。
ところが近年では、国内人口の減少や中国勢の台頭などにより、国内鉄鋼業は未曽有の危機を迎えている。
そんな中、国内鉄鋼メーカーは、米USスチールを約2兆円で買収した日本製鉄を筆頭に、海外ビジネスを強化することで生き残りを図ってきた(日鉄のUSスチール買収については『日本製鉄のUSスチール買収は完全子会社化で決着!3.6兆円ディールに日鉄が支払う「代償」とは?』参照)。
事業環境が悪化しても利益を上げ続けているのであれば、経営陣がそれ相応の報酬を受け取っていても、株主から批判の声は上がらないだろう。
では、鉄鋼業界で「年収1億円以上」の経営幹部はどんな顔触れなのだろうか?
ダイヤモンド編集部では、経営トップの会長、社長のみならず役員を対象に、年収1億円以上の高額な報酬を受け取っている人物を業界別に集計した。1社から複数人が記載される場合もある。
本特集では、高収入を単純に批判する狙いはない。次ページのランキングには、年収額と併せてPBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)、時価総額も掲載しているので、それらに「見合う年収」を得ているかの参考にしてほしい。
鉄鋼業界で年収1億円以上の経営幹部のランキングを作成したところ、国内最大手の日本製鉄の役員が上位に名を連ねる中、ある「意外な企業」の幹部が上位にランクインしていたことが判明。粗鋼生産量の少ない企業が役員報酬で“下克上”を果たしているのだ。いったいどこだろうか。
巨額買収を成功させ波に乗る日鉄の役員が、どのくらいの報酬を受け取っているのかも気になるところだ(日鉄の役員については、特集『日本製鉄の蹉跌 鉄鋼 世界大乱戦』の#6『日本製鉄で密かに進む次期社長レース、「ポスト橋本・今井」筆頭候補の実名とは?』参照)。1億円超の報酬を得ている日鉄幹部は何人いるのだろうか。
次ページでは、鉄鋼業界で年収1億円以上の役員を実名と共に一挙に見ていこう。