
コロナ禍で旅客が激減した空港に人の流れが戻ってきた。とはいえ、円安と物価高でコストは増大し国内線を中心にビジネス客は減少、事業環境は様変わりした。そんな逆風下で羽田空港などの幹線空港よりも旅客数を伸ばしているのは、実は地方空港だった。特集『ANA JAL 危機 過去最高業績の裏側』#6では、全国97空港の年間旅客数を集計し、コロナ前比増加率が高い空港ベスト20をランキング。中には増加率が100%を超える空港も存在することが判明した。(ダイヤモンド編集部 田中唯翔)
コロナ前後でどこが人気に?
空港の旅客数増加率ランキング
コロナ禍に旅客需要が蒸発したことで大打撃を受けたのは航空会社だけではない。空港も同様だ。
国土交通省によると、2024年度の定期航空輸送の旅客数は、1億2724万人(国際線2022万人、国内線1億0702万人)だった。どん底だった21年度の4531万人(国際線139万人、国内線4392万人)からV字回復を遂げており、過去最高だった19年度の1億3024万人(国際線2346万人、国内線1億0678万人)に迫る勢いだ。
各空港にもにぎわいが戻っている。全国97空港のうち、最も旅客数が多かったのは羽田空港だ。24年度の年間旅客数は8792万人で、コロナ前の18年度(8605万人)を187万人上回った。
他の主要空港も羽田空港と同じくコロナ前の水準に回復しつつある。下表が年間旅客数の多い上位10空港の18年度(コロナ前)と24年度(コロナ後)のランキングだ。
3位の関西国際空港(3175万人)や4位の福岡空港(2712万人)、5位の新千歳空港(2484万人)では、旅客数がコロナ前を上回った。
とはいえ、コロナ前後で航空業界を取り巻く状況は大きく変化した。世界的な物価高やインフレ、円安の影響でコスト上昇に歯止めがかからない状態になっているからだ。
その影響を大きく受けているのが国内線だ。国内線は、コスト増の一方で高単価のビジネス客が約7割減少。各社はコロナ禍から続いている公的支援がなければ実質赤字の状態だ。
こうした事業構造の変化によって空港の旅客増加率にも格差が生まれている。ビジネス客が減少した分の座席を埋めるためにタイムセールで需要を喚起し、中には航空各社の施策をうまく取り込んで旅客数を大きく増やした空港もある。
そこで、ダイヤモンド編集部は全国97空港の24年度年間旅客数の18年度比増加率を集計し、増加率が高い順にランキングを作成。増加率が100%を超える空港も存在していることが判明した。
ランキング上位には上表のような幹線の空港ではなく、地方空港が数多く入る結果となった。その空港とは一体どこか。詳細は次ページで公開する。