プライベートエクイティ 金融最強エリートの正体#11Photo:PIXTA

新興のスモールキャップPEファンド、マラトンキャピタルパートナーズが、外資系大手に匹敵する異例の高報酬制度を導入していることがダイヤモンド編集部の取材で分かった。特集『プライベートエクイティ 金融最強エリートの正体』の#11では、マラトンの職位別給与レンジを実額で初公開するとともに、潤沢なキャリー(成功報酬)を生む仕組みと、現場メンバーに手厚く還元される配分制度の全容を明かす。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)

新興マラトンの驚愕報酬
全職位の年収実額を初公開

 証券会社の投資銀行部門や大手コンサルティング会社ですら、ごく限られた精鋭しか足を踏み入れられない。それがプライベートエクイティ(PE)ファンドだ。

 この業界に超エリートが集まる理由の一つが、高い報酬水準にある。実際、PEファンド業界の待遇は他業種と比べても群を抜く。

 ただし、各社の年収の実態は、現場の社員でさえ把握しづらい。年収に大きく影響する「キャリー(成功報酬)」は、ファンドの運用成果に応じて変動する上に、その配分ルールが社内で共有されていないケースも少なくないからだ。

 キャリーは、ファンドの投資リターンが一定の基準を超えた際に、その超過分の一部が報酬として配分されるものだ。額は数千万円から数億円に達することもあるが、リターンが所定の基準を下回れば発生しない。「5年勤めてようやく受け取れると思ったキャリーが、実際はゼロに近かった」といった話も決して珍しくない。

 そんな中、スモールキャップPEファンドのマラトンキャピタルパートナーズが、外資系大手に匹敵する破格の報酬制度を導入していることが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。

 同社は、中小企業との資本提携やM&Aに特化した2021年設立の新興ファンドだ。1号ファンド(総額113.5億円)で高リターンが見込まれ、続く2号ファンドでは340億円もの資金調達に成功。創業からわずか4年で急成長を遂げている。

 この好調ぶりが、報酬面にも如実に表れている。マラトン代表の小野俊法氏は「2号ファンドでは、ヴァイスプレジデント(VP)1人当たりのキャリーが2億円を超える見通しだ」と語る。

 次ページでは、マラトンの職位別給与レンジを実額で初公開する。外資系大手に匹敵する報酬体系に加え、それを可能にする高い投資効率や、現場メンバーにまで多額のキャリーが行き渡る配分制度の全容を、他ファンドとの比較を交えて明らかにする。