三菱自動車新社長の岸浦恵介執行役員(右)と、会長に就く加藤隆雄社長。二人三脚体制で難局に挑む Photo by Koyo Yamamoto
三菱自動車の社長が5年ぶりに交代する。新社長兼COOには、岸浦恵介執行役員コーポレート企画本部長が就任する。加藤隆雄社長は会長兼CEOに就き、「二人三脚」体制になる。中国勢の台頭やトランプ関税など課題が山積する中、ホンダ・日産との3社協業はどうなるのか。実は、3社協業は「有名無実」となっているのが実態であり、三菱自動車から何らかの働き掛けをする必要がある状況だ。特集『自動車 “最強産業”の死闘』の本稿では、新体制となる三菱自動車の課題に迫る。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
筆頭株主の日産自動車に加え
三菱御三家にも対応が求められる複雑な方程式
三菱自動車は、三菱グループの「縮図」のような会社だ。
同社の大株主には、三菱商事、三菱重工業、三菱UFJ銀行という三菱御三家が名を連ねている上に、社外取締役として、三菱商事会長の垣内威彦氏、三菱重工名誉顧問(前会長)の宮永俊一氏、三菱UFJフィナンシャル・グループ会長の三毛兼承氏が経営に目を光らせている。これら3社は、いずれも現役の経団連副会長を務める企業で、「そんな企業から社外取を3人も迎えているような会社は、めったにない」(三菱グループ幹部)。
さらに三菱自動車の経営を複雑にしているのが、株式を26.67%持つ筆頭株主、日産自動車だ。社外取締役に加え、副社長にも日産出身者の指定席がある。三菱自動車の経営者は、三菱御三家だけでなく、日産との関係にも気をもまなければならない。
このように、複雑かつ絶妙なバランスの上に成り立つ株主間の力学の下で、かじ取りを行う三菱自動車社長が交代する。
4月1日付で、加藤隆雄社長は会長兼CEO(最高経営責任者)に就任し、岸浦恵介執行役員コーポレート企画本部長が社長兼COO(最高執行責任者)に昇格する。岸浦執行役員は、加藤社長に続く生え抜きのトップとなる。
同社の足元の業績は厳しい。米国のトランプ関税や、東南アジア市場での中国勢の台頭などを受け、2026年3月期通期見通しは、純利益が前期比76%減の100億円と、大幅減益を見込む。
正念場の今、岸浦新社長は三菱自動車を浮上させることができるのだろうか。
ホンダ、日産との3社協業も、特段の進展はなく、「有名無実」といってよい。加藤新会長と岸浦新社長の二人三脚体制で、3社協業は進むのだろうか。次ページでは、岸浦新社長の素顔と共に、ホンダ、日産との協業の行方を展望する。







