初会談したドナルド・トランプ米大統領と高市早苗首相。大統領と首相では権限に違いがある Photo:Bloomberg/gettyimages
ドナルド・トランプ米大統領と高市早苗首相が初会談した。同じ民主主義の同盟国であっても、米国は大統領制、日本は議院内閣制と統治形態は異なり、トップの位置付けや権限にも違いがある。前日本銀行総裁の黒田東彦氏が執筆するダイヤモンド・オンラインの連載『黒田東彦の世界と経済の読み解き方』の今回のテーマは、「大統領制と議院内閣制」。大統領と首相の違いは世界秩序にどんな影響をもたらすのか。
大統領と首相はどう違うのか?
法案や予算を提案できない大統領
先進国の統治システムは今や、ほとんどがデモクラシー(民主主義)になっているが、その統治形態は大きく二つに分かれる。米国やフランスなどの大統領制と、英国や日本などの議院内閣制だ。
大統領制では大統領が議会とは別に国民から直接選ばれるのに対し、首相は議会から選ばれる。そのため、大統領が支持する法案や予算が議会で否決される可能性があるのに対し、首相の提出する法案や予算は議会で可決されるのが通例である。
その代わり、首相は議会で罷免される可能性があり、議会の影響下にある。一方、大統領は議会で弾劾される可能性は低く(米国の大統領は、弾劾訴追を下院の過半数の賛成で決議し、上院で開かれる弾劾裁判で3分の2の賛成があれば弾劾されるが、250年の歴史で例がない)、議会の影響を受けにくい。
米国の大統領制では、大統領が絶大な権力を握っているように見える。だが実は、法案や予算を提案することもできず、全て議会が立案して、議会が承認することになっている。







