Photo by Yoshihisa Wada
2期連続の最高益更新に向けて視界良好な野村ホールディングス。2025年に5万円を超えた日経平均株価は、26年も高値5万9000円と強気の見通しを示す。ビジネスモデル変革の成果が表れ、全てが順調に見える中、奥田健太郎社長の口から出たのは「死角はたくさんある」という意外な言葉だった。特集『総予測2026』の本稿で、奥田社長が26年の市場予想、そして直面する「真の課題」を明らかにした。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)
純利益18%増で「2期連続最高益」視野
野村HD好調の裏に「モデル変革」あり
――野村ホールディングス(HD)の2026年3月期中間決算は、純利益が前年同期比18%増の1966億円でした。25年3月期(純利益3407億円)に続き2期連続で最高益を更新する勢いです。好調の要因は何でしょうか。
私が20年に社長に就任して以来、ビジネスモデルの変革に取り組んでいます。その大きなポイントの一つが、収益の安定化です。
法人向けのホールセール部門は、数年に1度のマーケットのボラティリティー(変動率)に応じて損益の変動が大きいビジネスでしたが、マーケットのサポートもあってエクイティビジネス(新株発行など資金調達支援)が増えています。
個人向けのウェルス・マネジメント部門も、ブローカレッジ(証券売買仲介)から資産管理型モデルへ変えました。同時に人とデジタルを融合し、付加価値が高い対面に人を配置し、それ以外はなるべくアプリを使ってもらう。地方銀行と組むことで、地方のビジネスも伸びています。
資産運用などを行うインベストメント・マネジメント部門はオルタナティブ(代替)商品をラインアップに加え、少しずつですが日本のお客さまに投資をしてもらっています。
こうしたモデルの変革により既存のビジネスが大きく変わり、全体的な収益を良くしているのだと思います。
――「マーケットのサポート」というお話もありましたが、確かに日経平均株価は25年、乱高下がありながらも高値圏にあります。26年もこの状況が続くとお考えか。
株式市場の活況は26年も続くのか。奥田社長は「力強い」と即答する一方で、具体的な「高値」と時期、そして警戒すべき「三つのリスク」を挙げた。特に日本国内のリスクとして言及した、高市政権の「ある政策」とは何か。次ページで明らかにする。







