Photo by Yoshihisa Wada
金利上昇やインフレに加え、為替は円安基調が定着しつつある。2026年の日本経済はどんな姿になるのか。特集『総予測2026』の本稿では、日本経済の見通しや国債格下げリスクなど市場環境への視点を踏まえつつ、個人向け総合金融サービス「Olive(オリーブ)」の今後の取り組みや、MBO(経営陣による買収)やLBO(レバレッジドバイアウト)を含むコーポレートアクションへの対応など、三井住友銀行が描く26年の成長の布石について福留朗裕頭取に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)
好循環を背景に段階的に利上げ
円相場は140~155円で均衡が続く
――2026年の金利をどう予測していますか。
段階的に利上げが進むという大きな流れは、26年も変わらないはずです。日本銀行の植田和男総裁がおっしゃっているように、賃金と物価の好循環が確認できれば、引き続き政策金利を引き上げていくことになるでしょう。
最終的には政策金利は1~1.5%程度まで上がるとみています。26年中にそこまで到達するかどうかは不透明ですが、方向性は変わりません。
――26年に賃上げの流れが止まるとは考えにくいですか。
考えにくいですね。人手不足は明らかで、賃上げしなければ人材を確保できなくなりつつあります。賃上げは、企業にとって「したくなくてもせざるを得ない」メガトレンドになりました。
――26年の為替はどう見ていますか。
日米金利差の縮小は避けられず、金利要因だけを見れば円高方向の力が働きます。
一方で、デジタル貿易赤字に象徴されるドル需要の強さがあり、需給面では円安圧力が根強いです。金利要因による円高と、需給面からの円安が拮抗し、今はバランスの取れた水準にあります。
感覚的には1ドル=140~150円、少し広げても155円までが「スイートスポット(最適なレンジ)」です。140~155円のレンジから大きく外れる展開は、よほどのことがない限り考えにくいと思います。
――高市政権は「責任ある積極財政」を掲げています。経済全体にどう影響しますか。
掲げていることが実現できれば、非常にポジティブです。「責任ある」と明示している点も評価できます。
財政拡張の圧力は今後も各方面から出てくるでしょう。ただ、少なくとも野放図なばらまきにはならないとみており、その点は国債や長期金利にもプラスに働くと考えています。
――福留頭取は全国銀行協会会長時代(24年12月)の会見で、日本国債の格下げを「テールリスク(発生確率は低いが起きれば損失が極めて大きいリスク)」と述べました。この議論が活発化している今、同様のリスクをどう認識していますか。
19年にわたり市場営業の最前線に身を置いた福留頭取は、「(1990年代後半から01年ごろまでの)ドットコムバブルのような展開が再び起きても不思議ではない」と話す。次ページでは、市場環境のリスク要因に加え、26年に取り組む二つの重点領域について聞いた。







