総予測2026Photo:PIXTA

2025年に歴史的な高騰をみせた金相場は、10月に1トロイオンス当たり4381ドルを記録した。金価格の上昇はいつまで続くのか。銀やプラチナに投資妙味はあるのか。特集『総予測2026』の本稿では、26年の貴金属相場の行方を展望する。(日本貴金属マーケット協会代表理事 池水雄一)

日経平均やS&P500より好調だった貴金属
銀やプラチナ、パラジウムも金超え

 2025年は「貴金属の一年」だったと言っても過言ではないだろう。

 年初からのパフォーマンスは貴金属4品が主要な投資商品の1~4位を占め、銀が96%、プラチナが84%、パラジウムが62%、金が61%だ(12月1日時点)。

 ちなみに日経平均株価は25%、米S&P500は16%、ビットコインはマイナス9%である。そして金ばかりが話題になっているが、実は銀やプラチナ、パラジウムのパフォーマンスは金を超えている。

 25年の金相場は1トロイオンス2600ドルから始まった。筆者の年初予想は3000ドル超えだったが、4月に3500ドルに達した。

 1月に就任したトランプ米大統領は関税を振りかざし、世界中を不安に陥れた。特に関税で全面経済戦争状態になった中国では、中央銀行である中国人民銀行の「ドル離れ金買い」が加速したのみならず、個人投資家も金を現物・先物市場で大きく買い、それが25年前半の最大の上昇要因になった。

 8月後半までは3300~3400ドルを中心とした狭いレンジの取引となったが、9月に入ると「貴金属を持たざるリスク」が資金運用者に意識された。加えてFRBの利下げもあり、レンジの天井を抜けると2カ月足らずでほぼ1000ドル上昇。10月20日に歴史的高値となる4381ドルを記録した。その後、短期筋の利食い売りによって一時下落したものの急落局面は短命であり、4000~4200ドルまで戻している。

 さて、この金の上昇トレンドは26年も続くのだろうか。