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ビットコインは2025年10月に円建てで1900万円に肉薄する過去最高値をつけた後、大幅な下落に見舞われた。ビットコインは再び高値更新を目指すのか。それとも調整局面が続くのか。特集『総予測2026』の本稿では、26年の仮想通貨市場の行方を展望する。(クリプトキャピタル チーフ・リサーチ・オフィサー 日枝千代)
ビットコインは10月に高値更新も
ピークから30%超の大幅下落
2025年のビットコイン相場は、4月に1200万円を割り込む調整を見せた後、10月上旬に1900万円に迫る過去最高値を更新した。しかし11月下旬には1300万円割れを一時記録し、ピークから30%超の水準訂正を余儀なくされている(下図参照)。
11月の急落は、ビットコインを「熱気球」に例えて考えると分かりやすい。株式や債券などの伝統的資産を、企業収益や利子というエンジンを積んだ飛行機とすれば、キャッシュフローを生まないビットコインは、過剰流動性や将来への期待という“熱気”だけで浮遊する気球といえる。熱気が強ければどこまでも高く舞い上がるが、冷めれば重力に従って降下する。
25年終盤、この気球は二つの力によって高度を下げた。
一つは世界から吹き付けた「逆風」、もう一つは日本国内で復活した「重力」である。
逆風とはグローバル市場の変調だ。米国ではインフレの粘着性が意識され、FRBの利下げペースが鈍化するとの観測が浮上。リスク資産全般の投資意欲を冷やした。
加えて、24年に相場をけん引したビットコイン現物ETF(上場投資信託)からの資金流出や、大口保有者(クジラ)による利益確定売りも重なった。さらに中東情勢などの地政学リスクが高まったことで、投資家心理は質への逃避へと傾き、ボラティリティの高いビットコインから資金を引き揚げる動きが加速した。
25年10月の最高値から大幅な調整が入ったビットコイン。次ページでは、26年のビットコイン相場の見通しと、上振れ・下振れシナリオを解説する。








