マレーシアの首都クアラルンプールで10月26日に開催された日ASEAN首脳会議が、高市早苗首相(中央)の外交デビューの場となった Photo:EPA=JIJI
米トランプ政権の高関税政策などによる世界経済の分断で、東アジア経済圏の重要性が高まっている。前日本銀行総裁の黒田東彦氏が執筆するダイヤモンド・オンラインの連載『黒田東彦の世界と経済の読み解き方』の今回のテーマは、「東アジアの経済統合」。東アジアの経済統合が実現するための課題と展望は?
中国や日本からの直接投資が増加
経済統合を推進するASEAN+3
高市早苗首相の「外交デビュー」は、10月26日にマレーシアで開催された日ASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議だった。ドナルド・トランプ米大統領が高関税政策などで世界秩序を揺るがすなか、東アジア経済圏の重要性は高まっている。
東アジアにおける貿易構造を見ると、日本と中国や韓国の間の貿易額も、これら3カ国とASEAN11カ国の間の貿易額も、極めて大きなものになっている(下表参照)。
中でも特段に大きいのが、中国から日本、韓国、ASEANへの輸出とASEAN諸国内の輸出である。
さらに、ASEAN+3(日中韓)諸国間では、日本から中国や ASEAN 諸国へ大量の直接投資が行われ、近年になって、中国から日本や ASEAN 諸国への直接投資も増加し、ASEAN+3の経済統合を推し進めている。
こうした状況の下、ASEAN+3 は、「RCEP(地域的な包括的経済連携)」という電子取引、サービス貿易、知的所有権まで含めた高度な自由貿易協定を2020年に結び、さらに経済統合を加速させようとしている。








