トシ子の訃報に接し「一つの時代が終わった」
“裏”の人間が支える“表”の人材枯渇に憂いも…
どうでしょうか。加藤先生は、宏池会会長に宮澤先生の後になられたわけですが、「加藤の乱」という政局もありました。その中で宮澤さんと加藤さんはたもとを分かつことになった。それを、辻さんがどう思っておられたのか、私には分かりません。ただ、最後まで宮澤先生には強い思い入れがあったのではないかと思います。
――辻氏が亡くなったときは、どういう印象でしたか。
やっぱり時代が一つ終わったという感じがしました。それだけ大きな存在だったわけですけれど、亡くなられたときは、どちらかというと控えめで静かなお見送りでした。あまり皆さんに声を掛けるというんじゃなくして関係者が見送る、そんな感じだったような気がします。
――寂しいなという印象ですか。
うん。それはちょっと寂しい思いもいたしました。
――現代に辻氏のような人がいたら、どんな活躍をされていたと思いますか。想像の話になってしまいますが。
(辻氏は)ご本人は表に出ないで、表に出る人間を動かす役割の人でした。となると、やはり表に出る人間がいなければいけません。現代で、表の役割を担う人間がいて、ああいう人がいれば、大きな政治の動きにつながる。そういうことはあるかもしれません。
――表に立つ人間も大事だということですか。
そうですね。辻さんは宮澤先生に強い思い入れがあった。それは高く評価していたからなのでしょう。高く評価される、表に出る人間がいなければ、やはり政治は動かない。この組み合わせが大事なのではないでしょうか。
――今の政界への憂いも含まれたご発言ですか。
今、辻さんに匹敵するような人物がいるかどうか知りません。結果として、そういう人が活躍する場があまりないのかもしれない。
――表の人物がいてこそ、裏の人が活躍できるという。
そうそう。裏の人がほれ込んでしっかり支え、協力をする、そういう存在はやっぱり必要ですよね。
――25年は一時、衆参両院で少数与党になるなど、自民党は難しい局面を迎えました。こういう情勢でも、もし辻氏がご存命であれば……。
それは大きな影響を与えることになったのではないかと思います。
――辻氏のようなフィクサーは、今いないですか。
どうでしょうか。ちょっと思い当たりません。
Key Visual by Noriyo Shinoda













