パナソニック 正念場#14Photo:PIXTA

業績の伸び悩むパナソニックで、収益を下支えしているのが電気設備を手掛けるエレクトリックワークス(EW)社だ。EW社は旧松下電工系の“傍流”でありながら、国内外で圧倒的なプレゼンスを誇っている。ただし、国内では蛍光灯の製造禁止で市場環境が激動しつつある。それでも、パナソニックは優位を保つことができるのか。特集『パナソニック 正念場』の#14では、EW社の“勝ち筋”に迫る。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

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全社売上高の1割強を占めるパナの電気設備会社
“傍流”でも高利益率をたたき出す「優等生」

 伸び悩みが続くパナソニック ホールディングス(HD)の中には、着実に成長している事業もある。その筆頭が電気設備関連事業だ。

 パナソニックグループでは、持株会社のパナソニックHDの下に複数の事業会社がぶら下がっている。電気設備関連事業は、グループ会社の一つである事業会社パナソニック(株)傘下のエレクトリックワークス(EW)社が担っている。照明や配線器具を手掛ける他、水素燃料電池(パナソニックの水素燃料電池については、本特集の#11『パナソニック・東芝・トヨタ連合の3陣営が「水素燃料電池」で異業種バトル!3年後に需要爆増の可能性、パナはHD社長が陣頭指揮!?』参照)など環境エネルギー事業にも注力する。

 EW社は、現在はパナソニックグループに統合されている旧松下電工の流れをくむ。家電事業を“本流”とするグループ内ではいわば“傍流”だ。

 だが同社は、次ページ図で示すように照明や配線器具など複数の分野で圧倒的なプレゼンスを誇る。収益面での貢献も大きく、パナソニックHDの2024年度連結売上高8兆4582億円のうちEW社が1兆715億円を占める。調整後営業利益率は7.2%と全社の5.5%を上回っており、パナソニックの屋台骨となっているのだ。

 さらにここにきて、EW社にはビジネスチャンスが到来している。蛍光灯の製造が禁止になるため、LED(発光ダイオード)需要急増が見込まれるのだ。

 しかし、この商機を競合他社が見逃すはずはない。三菱電機や東芝、アイリスオーヤマといったライバルたちもLED照明の販売拡大を狙っている。競合がひしめく中、電気設備分野でのパナソニックの“勝ち筋”はどこにあるのだろうか。パナソニックグループ全体で進行中のリストラや再編の影響が、EW社にどれくらい及ぶのかも気になるところだ。

 次ページでは、パナソニックの収益を下支えするEW社の「強さの秘訣」に迫る。グループ再編は、EW社にどんな影響を与えるのだろうか。