グリーンバレーは色々な事業を手がけているが、実際にはプロジェクトごとに実行委員会を組織して活動している。このため、グリーンバレーのメンバーでない人たちも参加しやすく、200人ほどの住民が何らかの活動に参加しているという。

「アーティスト・イン・レジデンス」を始めてから、グリーンバレーにある依頼が寄せられるようになった。縁のできた芸術家などから移住したいとの声があがり、空き家の紹介などを依頼されるようになった。

 そうした実績から、2007年に神山町から移住交流支援センターの運営を委託されることになった。住民団体が移住希望者の支援を一手に引き受けるのは、極めて異例のことだ。

「将来、町にとって必要な人たちを」
住民が移住希望者を見極め住居提供

 大南さんらは、世界中のアーティストに情報発信するためにインターネットを活用していたが、2008年に専門家の協力を得てウェブサイト「イン神山」を開設した。これが思わぬ副産物をもたらした。

 サイト内に掲載された神山町の古民家情報や暮らしぶり情報が人気を集め、人材を引き寄せることにつながった。創造的な仕事をする人たちが「神山は面白そうだ」と関心を寄せ、町にやってくるようになったのである。

 建築家や映像作家、写真家やアートディレクター、ITベンチャー企業家などだ。大南さんは「新しく町にやってきた人が新しい神山のコンテンツになり、新しい面白い人を呼び寄せるという、連鎖と循環が起きています」と、町の状況を説明する。

 移住者を優遇策で呼び込もうとしている自治体が多いが、神山町のグリーンバレーの移住支援活動は極めてユニークだ。優遇策で釣るようなことはせず、住民側が移住希望者を、地域になじめるかどうかなどを見極めて判断するのである。

 その究極が「ワーク・イン・レジデンス」というプログラムだ。空き家物件ごとに地元住民が希望する職種の人に入ってもらうもので、「この空き家にはパン屋さん」「こちらにはウェブ関係を」といったように指定する。将来、町にとって必要な働き手や職種の人たちを集めようという考えだ。