金融インサイド#15Photo:JIJI

金融庁は、2026事務年度(2026年7月~27年6月)に大きな転換期を迎える。18年度以来8年ぶりとなる大規模な組織改革を断行し、総合政策局と監督局を「銀行・証券監督局」と「資産運用・保険監督局」に再編。五つの室を“課”へと昇格させる。霞が関では新たに組織を増やす場合、既存の組織を取り壊す「スクラップ・アンド・ビルド」が定石だが、それを覆した異例の体制見直しの狙いは何か。長期連載『金融インサイド』の本稿で、事実上の局長級ポストとなる「監督総括審議官」を巡る庁内の出世レースの行方と共に詳報する。(ダイヤモンド編集部 高野 豪)

「2監督局体制」移行の狙い
官房機能を独立させ監督を高度化

 金融庁は2025年12月下旬、26年度の機構・定員を公表した。今後、政令である「金融庁組織令」の改正を経て、26年7月から新たな組織体制が始動する。

 目玉は監督局と総合政策局を再編し、「資産運用・保険監督局」と「銀行・証券監督局」の2監督局体制にすることだ(上図)。局を巻き込んだ再編は、「検査局」と「総務企画局」を廃止し総合政策局と企画市場局を設けた18年度以来となる。

 その意図は、総合政策局内の官房機能を独立させ、両監督局にリソースを集中させることにある。

 金融庁の発足後、資金移動業や暗号資産交換業、流通・携帯キャリア系の銀行など監督対象が激増。監督対象が増えれば当然、対応するための人員も増える。現在、監督局と総合政策局の監督部門には700人程度の職員がおり、霞が関の省庁でも屈指の大所帯だ。

 二つの監督局体制への移行は、迅速な意思決定と実効的・効率的な監督を行う組織を形成する上で必要なプロセスだった。伊藤豊長官は「局長があまりに多忙となり、(意思決定の)スピードに支障が出てはいけないので、二つに分けるということだ」と狙いを明かす。

 総合政策局を改称して設けるのが、資産運用・保険監督局だ。総合政策局で監督してきた暗号資産交換業や資金移動業などに加え、監督局の資産運用業や保険会社の監督担当課がぶら下がる形となる。

 元々総合政策局にあった官房担当部門は独立させる。国会対応や人事、省庁全体の調整を担当する3課(総務課・秘書課・総合政策課)は、他の局には属さず同庁直轄となる。総括するのは、新設する「次長」だ。他の官庁でいう官房長に当たるポストで、“局長級”に当たる。

 一方、監督局を再編して設けるのが銀行・証券監督局だ。大手金融グループでは、傘下の銀行や信託銀行、証券会社との結び付きが強く、グループベースでの監督の必要性が高まっている。銀行や証券会社などの実態を踏まえ、グループベースでの監督を高度化する。

 次ページ以降では、内閣人事局から「前例がない」と称された五つの室が“課”に昇格できた背景と新たな組織体制について詳報する。金融庁は、今年の夏からどう変わるのか。注目の人事も明らかにする。