三井化学の次期社長レース「3人の候補」の実名!“本命・対抗”シナリオが浮き彫りにする石油化学業界大再編の行方再編はまだ1合目 三井化学の橋本修社長 Photo by Tohru Sasaki/(c)YOSHIHARU NUGA/a.collectionRF/amanaimages

日本の石油化学産業でかつてない地殻変動が起きる中、相次ぐ石化再編の主導的な役割を果たしているのが、三井化学の橋本修社長だ。業界では在任6年目のトップの去就に注目が集まっている。同社のトップ人事は、単なる一企業のトップ交代にとどまらず、石化再編の行方そのものを占うテーマでもあるからだ。いま三井化学は構造改革の「設計段階」から「実行段階」へ移行しており、誰がかじ取りを担うかは、そのスピードと深さを左右する。特集『化学サバイバル!』の本稿では、ポスト橋本の有力候補の実名とともに、本命・対抗の二つのシナリオを明らかにする。(ダイヤモンド編集部 金山隆一)

石化設備の大阪存続という歴史的決断
「国内は6設備」構想は次期体制に?

「国内に10社以上ある石化大手は2~3社に集約される」。三井化学の橋本修社長は昨年11月のダイヤモンド編集部の取材にそう断言した(『三井化学社長、10社以上ある国内石油化学大手は「2~3社に集約される」とキッパリ!「26年は東アジアで生産最適化の動きが起きる」』参照)。

 発言は業界への警鐘であると同時に、三井化学自身が再編の当事者、震源になるとの意味も持つ。この大胆な見立てを語る橋本社長はすでに在任6年目。慣例からすれば交代が視野に入る時期だ。それでも足元の動きを見ると、橋本体制は終盤どころか、むしろここからが本番のようにも見える。

 象徴が、2026年1月に公表された三菱ケミカルグループ、旭化成、三井化学による西日本連携だ。岡山県・水島コンビナートのエチレン設備を停止し、三井化学の大阪拠点へ生産を集約、さらに3社共同運営へと踏み込む。

 地域をまたぐエチレン設備の再編は国内コンビナートの歴史でも初めての動きである。橋本社長が予告していた「大阪と水島のどちらを止めるか」という決断は、大阪存続という形で示された。しかも、これは単なる設備の統廃合ではない。橋本体制が進めてきた「石化からの撤退戦」を象徴する一手といえる。同社が掲げる石油化学事業の分社化、出資比率にこだわらない再編方針、そしてアジア全体での生産最適化という構想は、いずれも橋本社長が描いてきた“設計図”といえる。

 もっとも、再編はまだ入り口に立ったにすぎない。水島の設備の完全停止は30年前後を見込み、物流網の再構築やバイオ原料への転換など、脱炭素対応も含めた難題が待ち受ける。橋本社長が描く「将来は日本全体で50万トン級設備が6基あれば足りる」という見通しも、まだ青写真の段階にある。

 ではこの巨大プロジェクトを橋本社長自らが主導していくのか。それとも次世代に託すのか。ここに次期トップ人事の核心がある。次ページでは、次期トップ候補の3人の名前を挙げるとともに、社長レースの本命シナリオと対抗シナリオを解説する。