化学サバイバル!#21Photo:Bloomberg/gettyimages

石油化学業界の再編が、新たな局面を迎えている。ポリエチレン(PE)・ポリプロピレン(PP)事業を手掛ける三井化学と出光興産の共同出資会社、プライムポリマーが来春をめどに住友化学のPE・PP事業を統合する。過去にも再編の動きはあったが、沈静化していた業界再編が再燃した格好だ。国内でPPを手掛けるメーカーは実質3グループに集約される一方で、同じ汎用樹脂であるPEのメーカーの再編は容易には進まなそうだ。なぜか。特集『化学サバイバル!』の本稿では、最終製品である川下誘導品の再編を阻む業界の構造問題を明らかにする。(石油化学新聞記者 大浦 貢)

三井化学と出光興産、住友化学が樹脂事業統合
PP事業は3陣営に集約もPE事業は乱立続く

 業界再編が再燃――。今年9月、三井化学と出光興産、住友化学の3社は汎用樹脂であるポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)の国内事業を統合すると発表した。PE・PP事業を手掛ける三井化学と出光興産の共同出資会社、プライムポリマーが来春をめどに住友化学のPE・PP事業を統合する。

 PE事業とPP事業を巡る再編は、2005年の三井化学と出光興産のプライムポリマー発足以来、21年ぶりの動きとなる。これによって、PP事業に関しては、プライムポリマーと住友化学陣営のほか、三菱ケミカルグループとJNCが出資する日本ポリプロ、クラサスケミカルとENEOSが出資するサンアロマーの3グループ体制が確立する。国内需要の頭打ちと海外勢との競争激化を背景に、再編が大きく進んだ。

 一方で、PE事業については、プライムポリマーと住友化学陣営と、三菱ケミカルグループ、クラサスケミカル、ENEOSが出資する日本ポリエチレンの2強体制が鮮明になりつつあるが、旭化成や東ソーなどによるメーカー9社の乱立状態が続いている。今回、上位メーカーの再編が進んだものの、三井化学が出資する三井・ダウポリケミカルやENEOSが出資するENEOS NUCなどは再編とは一線を画し、独自経営を維持する方針だ。

 PP事業で大再編が進んだ一方で、PE事業での再編が進まない理由はなぜか。次ページでは、PE事業の再編を阻害している要因に加え、今後PP事業の再編がどのように進むかの見通しを明らかにしていく。