2013年6月26日、通常国会の閉会とともに、生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案は廃案となった。背景として考えられる要因は、各党の党利党略・地道に粘り強く繰り広げられた反対運動の影響など数多い。しかし、7月21日に予定されている参院選の結果しだいでは、国会に再提出される可能性もある。
今回は、社会保障審議会・生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会の委員を務めた藤田孝典氏(NPOほっとプラス代表理事)のインタビューを紹介する。
参院選の争点としては、忘れられがちな生活保護。そこを見つめることで、各党・各候補者が考え、思い描く日本の近未来が、浮かび上がってくるはずだ。
「国は国民を見捨てる存在である」
前回レポートしたとおり、国会に提出されていた生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案は廃案となった。しかし、2013年8月1日からは、生活保護基準の引き下げが実施される。生活保護法改正案などの法案とは無関係に、2013年度予算で決定されているからだ。
社会保障費削減は、少子化・高齢化に伴って「国是」とされている観がある。その中でも、生活保護に対する削減の動きは激しい。なぜ、最も弱く、最後のセーフティネットである生活保護によって救われなければ死に至る人々が、繰り返しターゲットにされなくてはならないのだろうか?
藤田孝典氏(NPOほっとプラス代表理事)は語る。
「自民党の一部の議員たちは、私に対して、はっきり言ってますよ。『だって、生活保護世帯の人たちは、抵抗勢力じゃないですからね』と。抵抗してこないから、削減していいんだ、と。それ以外の人たちからは抵抗されちゃうから、削減できないんだ、と」
人間の社会とは、政治とは、そんなものなのかもしれない。しかし、その身も蓋もない事実をそのまま認め、そのまま語ることに、私はいささかの抵抗を感じる。その私に、藤田氏は、
「もちろん、対象者が抵抗するかどうかによって社会保障のありようが変わっていくというのは、私から見ると、不公平感があるのですが」
と答えつつ、さらに身も蓋もない言葉を続ける。