日経平均6万円突破か減速か 攻めと守りの投資術#5Photo:Zhang Peng/gettyimages

大手ゼネコン4社全てが期中に上方修正を発表するなど、業績堅調な企業が多い建設セクター。3月以降は中東情勢の緊迫化の影響もあり、株価は調整入りしているが、再び高値を目指すことができるのか。特集『日経平均6万円突破か減速か 攻めと守りの投資術』の#5では、「先行指標である受注時採算の改善」「旺盛な需要と供給力の減少」などキーワードを解説しつつ、ゼネコンや電気工事の注目企業を分析。投資戦略だけでなく、業績と株価の躍進が期待できる企業について、具体名を挙げて詳述する。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

旺盛な需要と供給力不足により
受注時採算が劇的に改善

 この1年、株価、業績共に絶好調だった建設セクター。直近1年(2026年3月30日時点)の株価を見ると、TOPIX(東証株価指数)が37%上昇したのに対して、建設セクターは57%上昇。大手ゼネコン4社に限定すると、4社平均で116%も上昇しているのだ。

 とはいえ、足元の株式市場は2月までの楽観ムードから一変、大荒れ模様の展開となっている。イラン情勢の深刻化により、景気後退リスクも台頭しつつあり、資材価格の高騰も避けられない。建設セクターも3月以降は株価が調整しているが、26年度の業績、株価はどうなるのか。

 まずは26年度相場を予想する前に、この数年の建設セクターについて簡単に確認しておこう。そもそも不況の時代が長かった建設セクターが、なぜ脚光を浴びているのか。

 野村證券の濱川友吾アナリストは直近1年の建設セクターの株価の上昇について二つの理由を指摘する。

 一つは不採算案件がなくなり、来年、再来年の利益率改善の見通しが良くなっていることだ。

「堅調な需要を背景に受注時採算は過去のピークを超えている。また、各社が値上げを進めており、不採算案件もなくなりつつある」(濱川氏)

 二つ目は外国人投資家の買いが増えていることだ。

「ROE(自己資本利益率)が高まると同時に、時価総額が増加したことで流動性が向上。外国人投資家が入ってきたことで、需給が改善している」(濱川氏)

 東海東京インテリジェンス・ラボの栗原英明シニアアナリストは、建設セクターには数年単位で追い風が吹いていると指摘する。背景にあるのは好調な需要に加えて、供給が不足していることだ。

「製造業の設備投資、大型の半導体工場、データセンターなど需要が堅調なだけでなく、人手不足や労働者の高齢化、働き方改革に伴う総労働時間の減少により、供給力が減っている。その結果、需給が逼迫している。また、建設業法の改正等により、コスト上昇分を価格転嫁しやすくなった。円安による工場の国内回帰もプラス材料だ。政府にもインフラの担い手を確保するという危機感がある。ファンダメンタルズで弱気になる材料は見えておらず、ここで降りる要因はない」(栗原氏)

 足元の株価調整については、SMBC日興証券の川嶋宏樹シニアアナリストはこう指摘する。

「マーケット全体が急落しているため、単純には言えないが、少し割高になってきていないかという懸念に対して良い調整になったとみている。資材価格の高騰や建設需要が弱まる可能性はあるが、その場合でも他の産業の方が影響は大きい。イラン情勢の悪化による直接的な影響は小さく、相対的には選ばれやすいセクターだろう」

 とはいえ、もともとはシクリカル(景気循環)セクターであり、サブセクター(大手ゼネコン、準大手ゼネコン、電気工事、空調工事、特殊土木)によっても見通しは異なる。また、4月末から5月上旬は新年度の業績予想が発表されるが、保守的な予想が嫌気されて、株価が一時的に下落しやすい時期でもある。

 果たして今の水準は「絶好の押し目」なのか。次ページでは「受注時採算の改善」「業界再編」などのキーワードを中心に、今回の相場の特徴や見落としがちなリスク、新年度決算の見るべきポイントや指標を解説。業績と株価の躍進が期待できる大手ゼネコンや準大手ゼネコン、電気工事各社などについても具体的に名前を挙げて紹介する。