収入は半分以下に
それでも毎日が感動の連続

 引き継ぎの苦労などはありつつも、晴れて都庁を卒業した阿部さんは、2025年1月から蒸留技師として天鏡蒸溜所に入社。この時点で福島市に家庭を持っていた阿部さんはいま、蒸留所のある磐梯町との二拠点生活を送っている。

 平日は蒸留所で仕事に集中し、金曜の夜には福島市内に戻る。そして、夜にはバーホッピングに興じる。これこそ、思い描いていた理想の生活だった。

都庁勤務の“安定”を捨てて福島に移住、収入は半分でも「楽しくて仕方ない」ものづくりの仕事とは【地方で働く】蒸留設備。阿部さんもここで、一通りの製造行程を学んだ。

 それにしても、都庁職員という安定した仕事を捨てることに、家族から反対はなかったのだろうか。

「正直、収入は半分以下になりましたけど、家族もそこはすごく理解してくれています。自分の好きなことをやるのが一番だから応援するよ、と。もし反対されていたらいまの生活は実現できていなかったでしょうから、本当にありがたいですよね」

 そして実際にウイスキーづくりの現場に携わる日々は、「感動の連続」だという。

「仕事が仕事じゃないような、不思議な感覚です。雑用でも力仕事でも、本当に何をやっていても楽しくて仕方がないので、こんな世界があったのかと毎日しみじみ噛み締めています」