お酒の仕事の醍醐味は
縁がどんどん繋がっていくこと
ウイスキーは、大麦などの穀物から作られる麦芽(モルト)を主原料に、発酵や蒸留のプロセスを経て原酒を完成させるもの。そして何年もかけて熟成させることで、独自の味わいを生み出していく。磐梯山麓の豊かな自然による清冽な水と空気は、この地域ならではのウイスキーを育てるのに最適な環境だ。
「都庁時代とは対象的に、職場の周囲には森しかありません。でも、こういう環境で働けることが、いまは嬉しくて仕方がないんです。まだ立ち上がったばかりの蒸留所ですが、今後は生産量を増やしていく予定で、会社も少しずつ大きくなっています」
入社から1年半。見習い蒸留技師から始まった阿部さんの新たなキャリアだが、現在は組織の急成長に伴い、早くも事業部長に昇格し、さらなる事業拡大を図る立場になっている。
自社のウイスキーをいかに広め、事業としていかに育てていくかに心血を注ぐ現在。プロモーションのために東京へ出る機会も多く、忙しない日々を送っている。それでも、望んでやまなかった生活を手にした阿部さんの表情は晴れやかだ。
「あらためて感じるのは、お酒というのは人と人の縁を結んでくれるものだということです。天鏡蒸溜所のウイスキーを知ってもらうために、県内外のバーを訪ねてまわる毎日ですが、そのたびに新たな出会いが得られて、すごく充実しているんです」
蒸留所見学ツアーのアテンドも担当する。
なお、都庁勤務時代の経験も、思わぬところで生きている。
「大まかに言ってしまえば、都庁の仕事の大半は説明と調整でした。つまり言葉選びや伝え方がとても重要で、これはいま、天鏡蒸溜所の良さを伝えるうえでも同じことが言えると思います。今後さらに天鏡蒸溜所の知名度を上げていくために、まだまだ頑張らなければなりません」
公務員からウイスキーづくりの世界へ。まったく異なる畑でキャリアのリスタートを叶えた阿部さんのケースは、働き方の選択肢を広げる大きなヒントになるはずだ。







