Photo by Toshimasa Ota
首都圏における中学受験塾の王者、SAPIX(サピックス)の次を担う中学受験塾はどこなのか。今、難関校志向を売りとする「少数精鋭型」の中学受験塾の人気が高まっている。知られざる少数精鋭塾の神髄を各塾のキーパーソンへの忖度なしのインタビューで明らかにする、連載『ポストSAPIX 中学受験の少数精鋭塾大解剖』#22では、渋谷教育学園幕張や渋谷教育学園渋谷、慶應義塾湘南藤沢などの難関中高一貫校の帰国生入試・英語入試で圧倒的な合格者シェアを誇る「帰国子女アカデミー」の石戸雄飛・受験戦略リードと対談。その前・後編のうち前編をお届けする。(教育ジャーナリスト おおたとしまさ)
帰国生入試・英語入試で圧倒的トップも
「進学塾とは思われたくない」理由とは
おおたとしまさ 帰国子女アカデミーさんは、(中学入試における)帰国生入試や英語入試で圧倒的なシェアを占めています。2021~25年の5年間の合格者シェアは、渋谷教育学園渋谷で94.8%、渋谷教育学園幕張で91.8%、広尾学園広尾で86.6%、頌栄女子学院で82.2%、三田国際科学学園で84.4%、慶應義塾湘南藤沢で63.0%です。
石戸雄飛・帰国子女アカデミー・受験戦略リード とはいえ「進学塾」とは思われたくありません。英語を生かした進路選択・英語力保持向上のニーズの中に受験があり、しっかりサポートする体制です。
おおた はい。この連載のラインアップの中ではかなり異色な立ち位置です。もともと中学受験をターゲットに始まったわけではないと思います。いつ、どのような目的で設立されたのか?
石戸 04年、創立者であるチャールズ・カヌーセンが設立しました。彼はもともと渋谷教育学園渋谷で英語指導をしていました。海外で高い英語力を身に付けた帰国生が、英語で学び、考え、成長し続けられる場所をつくろうと考えたのが始まりです。対象は幼稚園生から高校生までです。在籍する生徒は帰国生だけではありません。インターナショナルプリスクール卒で公立小学校へ進む子、国内インターナショナルスクールに通う子、日本に暮らしながら、家庭では英語を日常的に使うバイカルチュラルな環境で過ごす子、また「おうち英語」で高い英語力を身に付けた子など、多様なバックグラウンドを持つお子さまたちが、完全英語の環境で学んでいます。
近年、帰国生入試に加え、一般入試で理科・社会の代わりに英語を利用する「英語入試」を目指すお子さまからのご相談も増えています。
帰国子女アカデミーは東京、神奈川、千葉に12校舎を展開する Photo by T.O.
おおた 首都圏の中学受験で英語入試が本格的に増えたのはこの10年ほどですよね。ONETES(旧首都圏模試センター)のデータによれば、17年に1000人弱だった英語入試の受験者が、今では4000人超です。この数字は現場感覚と合っていますか。
石戸 はい。おっしゃっているのは2月の一般入試で英語を利用するケースのデータだと思われますが、当校には11月以降の帰国生入試に臨む生徒も多くいます。
おおた 帰国生入試を導入する学校もこの10年で増えましたか?
石戸 増えています。東京都立立川国際中等教育学校が帰国生枠を新設しましたし、東京学芸大学附属国際中等教育学校ができたのも大きな転機でした。24年には東京私立中学高等学校協会による帰国生入試要件の明確化などの動きもありました。
おおた 帰国子女に対しては例外的に秋入試の実施が認められていますが、一部の学校が、帰国子女ではない受験生まで帰国生枠で受験させてしまったり、オンラインでの入試を行ったりしたことから、ルールを厳格化しましたね。
石戸 国内のインターナショナルスクールに通う受験生が受けられる学校が減り、混乱しました。それで、2月の一般入試の重要性が増しました。ただし、厳格化されたのは東京都の私学のみです。近年の非常に大きな動きとして、頌栄女子学院の英語利用入試が挙げられます。帰国生入試ではない、2月の一般入試の枠の一つです。
おおた 国算の2教科の得点に、英検の級を「見なし点」に換算して加点して、合否判定します。
石戸 頌栄女子学院の場合、英検があれば、2月一般入試で国内インターナショナルスクール生等も受けられるようになりました。合格後、帰国生向け英語取り出し授業を希望すれば、内部試験を受けることができ、合格すると、帰国生と一緒に学べます。当校では、いわゆる偏差値ではなく、高いレベルの英語力を維持できる教育環境かという観点で学校を選ぶご家庭が多いです。
おおた 小学校で英語が教科化されましたから、中学入試でも英語を入試科目に加えることが可能になりました。首都圏には約300の私立中学がありますが、帰国子女ではなくても受けられる英語入試を実施する私立中学は、現在約140校です。
石戸 ただし、帰国生入試や英語入試に関しては実施形態があまりに多様で、情報収集が難しく、当校に問い合わせが集まる状況です。
おおた 中学受験対策コース「Juken Track」の受講者数を教えてください。







