同僚査定の実力ランキングで
報酬を決定

変態診断、すごいネーミングだ(笑)

本田 評価システムをより効果的なものにするために、独自の工夫をしているそうですね。

柳澤 グルーピングをされた職種ごとに、実力ランキングを作っています。例えばゲームのエンジニアであれば、20人ほどで全員が実力順に点数をつけます。一番できるエンジニアだと思えば20点をつけ、20番目であれば1点。それを全員がやります。最終的には、リーダーの点数をちょっと強めに、入社が半年以内の社員の点数はちょっと弱めに調整して、すべての点数を足してランキングを出します。これが、報酬の基準になるんです。

本田 同僚がしっかり見ていると。

柳澤 最終的なランキングの決定には、経営陣も数字を加えますが、およそ8割方は、順番は変わりません。同僚となる社員の目は正しいのです。まじめに仕事をしているか、サボったりしていないか、といったことは、このランキングに如実に出てきます。チームが困っているときに、助け合ったりできるか、ということも。自分さえ良ければ、とばかりに結果を出しても、必ずしもいい評価が得られるわけではないんです。

本田 成果主義でのよくある不満を解消できる仕組みのひとつ、といえるかもしれませんね。

柳澤 報酬はこの実力ランキングで決まりますが、評価システムは全部で4つあります。ひとつは、自分が作った目標に対する360度評価。その期に作ったもので最高の作品について、評価をもらう。これは、報酬には関係なく、自分の成長に使ってもらおう、というものです。もうひとつが、変態診断変わっているか、変わっていないか、を周囲から評価されるもので、せっかくカヤックにいるのにあまり自身に変化が見られない人は、成長していないのではないか、と指摘されるというわけです。同じ能力、実力を持っているだけではダメで、常に変わり続けないといけない、成長し続けないといけない、という考え方が表れた制度です。そしてもうひとつが、賞与の業績となるポイント制の評価。賞与の分配に関しては、独自の指標を作っています。

本田 変態診断、すごいネーミングだ(笑)

柳澤 それぞれ、どれをどんな目的のために使っているのかは、はっきりさせています。すべてが給与や賞与に直結するわけではありません。しかも、誰がどんな評価をしたのかは、オープンになっています。どの評価が自分の成長に役立ったのか、評価された側が“いいね”をつけていく仕組みがあります。そうすると、評価者のランキングも出てきます。この人の評価が一番響いた、といった数字もランキングになります。

本田 評価者がオープンになっていると、厳しい評価はしにくくなるのではありませんか?

柳澤厳しく言ってくれた人ほどいい、という文化にしているんです。ちゃんと愛情を持って厳しく言ってあげたほうが、その人のためにはプラスです、と。逆に愛情がないなら、言わないほうがいいと思います、と。

厳しい評価は愛情である、という考え方があり、評価する側も評価される。360度評価がいい加減なものにならない、独自の仕組みといえます。