世界中旅をしながら
プロジェクトを仕上げる

「旅する支社」は創業期からやっています(柳澤)。
写真提供/カヤック

柳澤 サテライトオフィスというわけではありませんが、プロジェクトごと旅に出てしまう取り組み「旅する支社」を導入しています。ハワイに行ったり、イタリアに行ったり、ベトナムに行ったりして、現地でプロジェクトをこなすものです。

本田 楽しそうな支社だ(笑)

柳澤 創業期からやっています。鎌倉にオフィスを持つことも早い段階で決めていましたし、せっかくインターネットのサービスをやっているなら、場所はどこでもいいだろうと思っていましたから。もともと学生時代から旅行が好きで、バックパッカーに近いところもあって、生き方として場所を問わないのはいいな、という思いが潜在的にあったんだと思います。この業界を選んだことも含めて。

本田 具体的にはどんな仕組みなんですか?

柳澤まず候補地を決め、条件が出て人数を決め、社員に手を挙げてもらいます。人数がオーバーした場合は、簡単なプレゼンテーションをしてもらい、役員が最終判断をする。人数に達しなかった場合は、全員が行ける。毎回、20人から40人ほどになります。

本田 けっこう大人数ですね。

柳澤 合宿のような形で、2週間くらい籠もって、ひとつのプロジェクトを仕上げます。土日は観光したりもしますが、それ以外は集中して開発をしていることが多いですね。楽しみのひとつはやっぱり食事で、そこにはこだわります。行く場所は、みんなで投票したりして、決めています。

本田 仙台にも行かれたそうですね。

柳澤 はい。2012年は震災支援も兼ねて仙台に行きました。仙台のエンジニアを集めて勉強会をして、仙台で東京の仕事に一緒に取り組みました。旅をして現地で仕事をするだけではなくて、うまく東京と仙台をつなぐようなことをしたかった。今後は現地ともっとコラボレーションができるようになればいいな、と考えています。

本田 こちらは外国人社員の方は多いんですか?

柳澤 約2割は外国人社員で、約10の国から来ています。新卒採用は国内と外国とあまり分け隔てなくやっています。結果的に優秀なエンジニアがアジアにたくさんいて、自然に増えることになりました。それ以外にこんな取り組みをしたこともあります。“ギットハブ”というエンジニアが使っているサービスがありまして、そこに求人広告を出しました。日本で働きたい尖ったエンジニアに航空チケットを出すので3カ月腕試しに来ませんか、というものです。ダメなら、帰国してもらってもいい、ということで、中にはとりあえず旅行に来たかった、なんて外国人が来てしまったこともあったんですが(笑)

本田 社員が多様であるということも重要なんですね。今日はありがとうございました。

※次回は8月13日更新予定です。


「あたらしい働き方」バックナンバー

第1回 あたらしい働き方がどんどん出てくる今、
なぜまだ昔の基準のまま会社を選ぶのか 

第2回 あたらしい企業選びの基準
6つのクライテリアと17の必要なスキル

第3回 セルフマネジメントができる人には、こんなラッキーな会社はない
【企業インタビュー:パタゴニア編】

第4回 働きやすさとは、カルチャーが合うか、合わないか
【企業インタビュー:ザッポス編】

第5回 日数制限のない有給制度をつくってしまった会社があった
【企業インタビュー:エバーノート編】

第6回 イノベーションを生み出す力を身につけるための教室は、
フレキシブルで、空間にもこだわりがあった。
【スタンフォード大学d.school編】

第7回なぜあの会社には、働き方のルールがないのか?
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第8回会社への文句を
社内ツイッターで堂々とつぶやいてOKの会社があった
【企業インタビュー:セールスフォース・ドットコム】

第9回 仕事と趣味の境界線を曖昧にする。
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【企業インタビュー:インストラクタブルズ編】

第10回 チームの要望通りに
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【企業インタビュー:ネットアップ編】

第11回 自分で仕事の時間を切り分けられるから
不満がないんです
【企業インタビュー:ホワイトストラタス編】

第12回 午後3時には仕事を終えて
帰ってもいい会社があった。
【企業インタビュー:スタートトゥデイ編】


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本田直之(ほんだ・なおゆき)
レバレッジコンサルティング株式会社代表取締役社長兼CEO
シティバンクなどの外資系企業を経て、バックスグループの経営に参画し、常務取締役としてJASDAQへの上場に導く。現在は、日米のベンチャー企業への 投資事業を行うと同時に、少ない労力で多くの成果をあげるためのレバレッジマネジメントのアドバイスを行う。東京、ハワイに拠点を構え、年の半分をハワイ で生活するデュアルライフを送っている。

幸福度ランキングトップの北欧(デンマーク、スウェーデン、フィンランド)の人たちと幸福について語り合って著した近著『LESS IS MORE 自由に生きるために、幸せについて考えてみた。』(ダイヤモンド社)が話題になっている。
このほかの著書に、ベストセラーになったレバレッジシリーズをはじめ、『ノマドライフ』(朝日新聞出版)、25万部を越えるベストセラーとなった『面倒く さがりやのあなたがうまくいく55の法則』『ゆるい生き方』『7つの制約にしばられない生き方』(以上、大和書房)『ハワイが教えてくれたこと。』(イー スト・プレス)などがある。
著書は累計200万部を突破し、韓国、台湾、中国で翻訳版も発売されている。