金利上昇「衝撃度」ランキング!【26業界】苦しくなる企業はどこ?#6Photo:PIXTA

国内外の金利上昇が止まらない。金利上昇は企業の利益を圧迫する。化学業界は、石油化学事業を中心に構造改革が急務となる一方で、半導体や電子材料などの高機能領域では設備投資に迫られ、資金を調達するメーカーも出ている。ダイヤモンド編集部では、2年以内に返済・償還を迎える有利子負債の借換金利が1%上昇した場合、足元の利益をどれだけ押し下げるか「金利上昇衝撃度」を独自試算。特集『金利上昇「衝撃度」ランキング!【26業界】苦しくなる企業はどこ?』の本稿では、化学各社のランキングを紹介する。(ダイヤモンド編集部)

金利1%上昇の足元の利益圧迫度
化学業界の金利「衝撃度」を独自試算

 化学業界は激動の真っただ中にある。中国の化学品の過剰供給の影響などで総合化学メーカーを中心に国内の石油化学事業で再編が加速。国内に12基あるエチレンの生産体制は今後、8基体制に集約される見通しとなった。

 各メーカーでも、例えば、UBEは2025年3月期に国内外の拠点を対象に350億円の減損損失を計上するなど構造改革に乗り出し、最終赤字を計上。26年3月期には黒字転換を果たしている。

 基礎化学品の収益性が悪化する中、化学メーカーは半導体や電池の材料など高機能領域へのシフトを加速させている。

 三井化学は8月17日、米歯科材大手ウルトラデントの買収を完了したと発表した。買収額は9億ドル(約1400億円)で、同社としては過去最大額となる。買収資金は金融機関からの借り入れで充当する。

 三井化学は石化事業での構造改革に踏み切り、ICT(半導体材料など)とモビリティ(自動車)、ライフ&ヘルスケアの成長3領域の強化を掲げる。ウルトラデントの買収もライフ&ヘルスケア領域の収益を拡大するための一手だ。

 同社は13年に歯の修復剤に強い独クルツァーを買収しており、ホワイトニング分野で世界首位のウルトラデント、化学材料に強い三井化学と併せて、歯科治療全体へワンストップでのソリューション体制を構築する狙い。

 化学メーカーが資金を調達して成長投資に迫られる一方、足元の金利上昇は企業の利払い負担を増やし、利益を圧迫するリスクがある。ただし、その影響の大きさは企業によって一様ではない。重要なポイントになるのが、借入金や社債の返済・償還時期である。

 既存の借入金や社債の多くには、契約時に決められた金利が適用されている。このため、市場金利が上昇したからといって、全ての有利子負債の金利負担が直ちに増えるわけではない。返済や償還期限を迎え、新たな金利水準で借り換える段階になって初めて、金利上昇の影響が本格的に表れる。

 従って、有利子負債が多額であっても、返済・償還時期が5年先などに集中していれば、当面の利払い負担への影響は限定される。一方、有利子負債の総額がそれほど大きくなくても、近い将来に多額の返済・償還を控えていれば、借り換えによる金利上昇の打撃は大きくなり得る。

 そこで今回、ダイヤモンド編集部は、決算期末時点で2年以内に返済・償還を予定する有利子負債を対象に、借換時の金利が1%上昇した場合の利払い負担増加額を試算した。さらに、その金額が直近3期の平均営業利益に占める割合を算出し、利益への圧迫度を示す「金利上昇衝撃度」としてランキングを作成した。

 次ページでは、化学業界のランキングを紹介し、金利上昇が各社の利益にどの程度の影響を与える可能性があるのかを詳しく見ていく。