Photo by Yasuo Katatae
主に中小企業同士のM&Aを仲介し、急成長してきた「M&A仲介業界」。事業承継の手段として着目されてからは市場が急拡大し、各社の業績も右肩上がりで伸びてきた。その隆盛ぶりから新規参入企業が相次ぎ、同時に金融やコンサルティング業界などで、腕に覚えのある人材も引き寄せてきた。新刊『社喰い』(片田江康男・著)でも詳しく解説しているM&A仲介業界の最新動向を、「支援業務専従者ランキング」から読み解いていく。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)
16年で約14倍の急成長も!
新規参入&独立が相次ぐ“大戦国時代”
M&A仲介業界が急成長し始めたのは2010年ごろだ。後継者不足の中小企業が続出することを千載一遇のチャンスと捉えた大手M&A仲介各社が、事業承継に課題を抱える中小企業へ“M&Aこそ解決策である”と訴えた。
この戦略はズバリとはまり、最大手の日本M&Aセンターの業績は急伸。10年3月期に36億5500万円だった連結売上高は、10年後には約8.7倍の320億0900万円に拡大し、26年3月期にはついに502億5700万円に達した。
その背中を追うように、同業のストライクやM&Aキャピタルパートナーズも業績を伸ばし、先駆者である3社は、M&A仲介“御三家”と呼ばれる業界のリーダー的存在となっていった。
急成長するM&A仲介市場を、隣接業界が放っておくわけがない。10年代後半になると、コンサルティング会社や銀行などの金融機関、さらに御三家で実績を積み、独立したエース社員が立ち上げた新興M&A仲介会社が続々と参入し、市場はさらに活況を呈してきた。
その活況ぶりの一端は、中小企業庁が運用する「登録支援機関データベース」にも表れている。「支援業務専従者」の一覧を見ると、御三家に肉薄する、新興M&A仲介会社や新規参入企業が現れている。
1位は「日本M&Aセンター」が独走も
トップ5に新規上場決めた新興勢力
上表は、11月4日時点の「M&A支援業務専従者ランキング」だ。前ページで御三家として紹介した日本M&Aセンターは649人で堂々の1位。次いでストライクが343人で2位に入った。
M&A総合研究所は、18年に創業した後発組だが、市場拡大の波に乗って急成長。人材採用も積極的に行っており、329人で3位にランクインした。
御三家の一角であるM&Aキャピタルパートナーズは203人で4位だった。ストライクやM&A総合研究所と100人以上の差があるように見えるが、同社は16年10月に完全子会社化したレコフや、24年に出資したフロンティア・マネジメントを抱えており、グループ全体では人数にそれほどの差はないといえる。
ここまではM&A仲介業を専業とする大手が並んでおり驚きはないが、5位以下は新規参入組や新興勢力が顔を出している。
5位には152人のM&Aロイヤルアドバイザリーがランクイン。創業メンバーで社長の橋場涼氏はM&Aキャピタルパートナーズ出身だ。26年12月に東京証券取引所グロース市場への上場が決まっている。
他にも7位に三菱UFJ銀行、10位にみずほ銀行、12位にりそな銀行、13位に三井住友銀行と、大手銀行が入った。大手銀行は顧客から事業承継支援を求められることがあり、その対応のために人員を増やしているとみられる。
見逃せないのは、15位のAGSコンサルティングや20位の辻・本郷 税理士法人、36位の税理士法人 大分総合会計事務所など、税理士法人やそのグループ会社が勢力を伸ばしている点だ。税理士法人は近年、収益源の多様化のために業容拡大を進めており、その中でもM&A仲介業務は有望な業務だと捉え始めている証拠だろう。
コンサルティング業界からの参入も相次いでおり、8位の山田コンサルティンググループなどがランキング上位に食い込んでいる。数年後には、これまで固定されていた上位4社の顔触れが変わることも、大いにあり得るだろう。
Key Visual by Kaoru Kurata, Noriyo Shinoda, Akiko Onodera, Graphic:Daddy’s Home








