7月より開始した当連載ですが、これまで4人の社長にご登場いただき、自身の経験を振り返っていただきながら、自らが最も大事にしている「仕事の極意」について語っていただいてきました。しかし、「私が、いま、なぜ、“社長の仕事力”にこだわるのか?」――その理由を、きちんとお伝えしていなかったように思います。

 そこで今回から2回にわたって、社長へのインタビューではなく、私自身の言葉で、読者の皆さんに直接お話ししたいと思います。

私が「社長の仕事力」
にこだわる理由

高城幸司
 9月に発生した米国発の金融危機以降、日本経済も打撃を受け、大手企業は次々と大幅な減収減益を発表。中小企業を中心とした倒産や破綻のニュースが流れることも少なくありません。この不況は一体いつまで続くのか、われわれの雇用環境はこれからどうなるのか――と、不安を抱く人も多いことでしょう。

 こういう先の見えない時代だからこそ、これからどういう人材が必要とされるのかをきちんと見極めなければなりません。成長ありきの時代と比べて、明らかに「できるビジネスパーソン」の条件が違ってくるはずです。

 私は決して、社長たちにインタビューすることで、誰もが真似のできないような華々しいサクセスストーリーを紹介したいわけではありません。自分で何かを切り拓き、何か成し遂げてきた人だからこそ、その言葉に大きな重みがあると思っています。そういう人が語る『仕事の極意』は、読者の皆さん、特に若いビジネスパーソンにとって、これからの時代を生き抜く大きなヒントになるはずです。

世の中の成長=自分の成長
という時代の終焉

 日本経済の歴史を簡単に振り返りながら、改めて少し考えてみましょう。

 高度経済成長時代のように、経済が右肩上がりの時代であれば、企業の上昇志向に合わせ、そこで働くビジネスパーソンのモチベーションも自動的に高まりました。それがますます企業を発展させ、経済を成長させるという好循環が働いたわけです。見方を変えれば、世の中の成長を自分の成長と錯覚しやすい時代だったともいえるでしょう。

 ところが、90年頃に起こったバブル崩壊以降、歯車は逆回転を始めました。景気が後退し、リストラが始まり、モチベーションが落ちて企業の業績も下降しました。そして、2000年のネットバブルで一時的に持ち直したものの、すぐに減速。そして2003年頃から再び景気は回復基調へ。かつての「いざなぎ景気」を超える戦後最大の景気拡大期に入ったともいわれました。

 しかし、昨年発生したサブプライム問題に端を発する世界経済の減速により、日本経済も大きく後退。楽観的に考えても、決して明るい見通しはできなくなりました。今後もゆるやかな右肩下がりが続いていくことでしょう。少なくとも、かつてのような高度成長時代に戻ることはもうあり得ない、と私は思っています。むしろ、少子化、雇用の多様化、社内の上下関係の複雑化などで、今後のビジネスパーソンを取り巻く環境はますます厳しくなっていくものと思われます。

 そういう中で求められるのは、景気や会社の力に左右されない、「自分自身の仕事力」ではないかと私は考えています。