「うそっ…私の年収、低すぎ?」

 驚いた表情の女性がそう呟くネット広告を目にして、さまざまな思いを巡らせたことのある人は多いかもしれない。自分の年収が適正なのかどうかは多くのビジネスパーソンが気になるところだ。景気の低迷が続く中、現在の収入に満足している正社員は全体の何%なのか。

年収に対する満足度が一番低いのは40代

 NTTデータ研究所が20~50代までのビジネスパーソン1038人にアンケートした結果、現在の年収に「大いに満足している」と答えたのは全体の2.6%に過ぎず、「どちらかといえば満足している」と答えた33.8%を合わせても4割に満たなかった。「どちらかといえば不満がある」が43%、「大いに不満がある」は20.6%だった。

 年代別の差はそれほど大きくないが、「大いに満足している」と答えた割合が一番高かったのは30代で4.2%、逆に一番低かったのは40代の0.8%。子どもの進学やローン返済など負担の増える時期であることなどが理由と考えられる。先行き不安な経済状況を見るにつけ、少しでも貯蓄額を増やしておきたいという気持ちの表れとも取れるだろう。

年代が上がるにつれ、
希望と現実が乖離

 それでは、具体的にどのくらいの年収アップを望んでいるのだろう。「50万円未満」「50~100万円未満」「100~200万円未満」「200~300万円未満」「300万円以上」に選択肢をわけたところ、最も多かったのは「50~100万円未満」の32.1%、次いで「100~200万円未満」の29.7%だった。「50~200万円」に全体の6割が集中している。「50万円未満」と合わせると、全体の8割が200万円未満の年収アップを望んでいた。

Q:あなたは、年収があと最低どのくらいアップして欲しいと思いますか?Q:あなたは、年収があと最低どのくらいアップして欲しいと思いますか?
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 年代別に見ると、20代で100万円未満(「50万円未満」と「50~100万円未満」を合わせた人数)と答えた人が約80%であるのに対し、30代では約57%、40代で約37%、50代で約31%と徐々に減少。逆に、「100~200万円未満」「200~300万円未満」「300万円以上」と答えた人は年代が上に行くにつれ増加する。年齢が上がるにつれて、希望する年収と現実の差が広がっていることがわかる。

 しかし、年収に対する満足度は仕事に対しての満足度と必ずしも一致しないようだ。同じアンケート結果で仕事の満足度について尋ねたところ、「大いに満足している」は8.3%、「どちらかといえば満足している」は53.4%と、全体の6割が満足しているという結果が出た。年収に不満があるとはいえ、不景気の中、雇用が確保されているビジネスパーソンはそれなりに仕事に満足感を感じている。「年収低すぎ」の不満は現代のビジネスパーソンにとって、すぐに転職を考えることには直結しないのかもしれない。

(プレスラボ 小川たまか)