2013年10月15日、生活保護法改正案とともに、生活困窮者自立支援法案(困窮者自立支援法案)が再び閣議決定された。この法案には、本連載政策ウォッチ編・第27回で指摘した「対象者が不明確」「有効性が疑わしい」「新たな水際作戦の窓口が増える」「国の制度として定められる範囲が小さすぎる」という問題点以外にも、さまざまな可能性と数多くの問題点が含まれている。

今回は、生活困窮者自立支援法案のその他の問題点について検討してみたい。特に、利権や不正の新たな温床となる懸念はないだろうか?

生活保護をめぐる報道が
急激に増加

 本題の生活困窮者自立支援法案について検討する前に、9月末からの生活保護に関する主な報道を時系列で整理してみたい。いわゆる「不正受給」や福祉事務所の経理ミスについては、内容の詳細が不明であるもの・疑問点の多いものも含めて報道が多いため、特に大きく取り扱われたもののみとする(リンクのない新聞記事は、新聞記事データベースによる)。

2013年9月27日
-8月1日から実施された生活保護費減額に際し、コンピュータ・システムの改修に必要な費用を確保するため、セーフティーネット支援対策等事業費補助金(生活保護当事者・生活困窮者等の自立支援のための補助金)が不足することが判明した(東京新聞 http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013092702000144.html

2013年10月3日
-沖縄県内の「その他世帯(生活保護世帯のうち世帯主が稼働可能な世帯)」が、2008年の1592世帯から2012年は3231世帯と約2倍に増加した(琉球新報)
-全国の生活保護世帯が過去最多(約159万世帯)に、受給者数も最多(約216万人)に(岩手日報ほか)

2013年10月5日
-厚労省、生活保護の住宅扶助などを削減する方針を社保審・生活保護基準部会に示した(毎日新聞)
-厚労省、消費増税に伴い、生活扶助を引き上げる方針を明らかにした(朝日新聞)

2013年10月8日
-千葉県所轄の6福祉事務所で、ケースワーカーの過半数が無資格であったことが判明(読売新聞)
-福岡県中間市の職員が関与したとされる生活保護費不正受給について、事件と別に不正支出の疑いのある9件が判明(毎日新聞)

2013年10月9日
-10月4日、政府・規制改革会議が「日雇い派遣」の解禁を厚労省に求めた(東京新聞)