勉強していても「目標」が持てない学生たち

若者の就労支援における課題を語る、アスバシ教育基金代表理事の毛受芳高氏

「卒業できない、就職できない、3年以内に離職している割合は、大学生の2人に1人、高校生の3人に1人」というデータがある。就職氷河期という言葉が物語るとおり、若者にとっての就労環境はいまだ厳しいことに変わりはない。※文部科学省の発表数字をもとに、一般社団法人アスバシ教育基金が試算。

 こうしたなか、アスバシ教育基金と、アクセンチュアが共同で11月1日、教育投資サイト「ユースアクティベーション」を立ち上げた。

 このサイトは、全国の若者支援団体約250が実施するインターンシップ(学生が一定期間、企業などで実習生として働き、実際の仕事を体験できる制度)などの支援プログラムを紹介し、活動内容に賛同した人が資金を寄付できるしくみ(クラウドファンディング)を備えている。このサイトを通じた社会投資によって、若者の就労を応援するのが狙いだ。

 就職できない若者について、アスバシ教育基金代表理事の毛受(めんじょう)芳高氏はこう見る。

「今の子どもたちには、やりたいことや夢・目標がない、自信もない。加えて、受動的・指示待ちシンドローム(症候群)がはびこっていることがすべての出発点ではないかと考えられます。この傾向は偏差値にかかわらず、大学・専門学校でも同じ。京都大学の学生が、不安だからといってインターンシップに参加するケースもあります。こうしたことが目の前のチャンスをつかめない要因になっているのではないでしょうか」

高校生に気づきを提供し、
「起動」せよ!

11月1日にオープンした「ユースアクティベーション」のWEBサイト。現在は5件のプロジェクトを公開中

 さらに毛受氏は、受動的・指示待ちシンドロームの根底に潜む問題として「子どもの就労に関する主体性・積極性・能力が社会に出るまでに備わっていない」点を挙げる。

「多くの若者は、高校や大学の卒業直前になって初めて就職について考え始めるため、就職活動がうまくいかなかったり、とりあえず就職してすぐに辞めてしまうといったことが起きているように思われます。改善するには、高校生の段階でさまざまなことを体験し、自分の能力と折り合いをつけながら、目標に見合う能力・知識を身につけていくことが大切です」