3年で1000店舗が目標
私は、このビジネスの競合は当初からカフェだと考えていた。
コーヒーを飲んでもらうことに変わりはないが、彼らは私たちと対極的な何かだと言ってもいい。ネスレ日本は商品本位だった。一方、カフェは、もちろんコーヒーのおいしさはあるが、それだけではない。そこにはやはり、店舗が欠かせない。店舗の雰囲気や応対といったすべてがブランドをつくっているからだ。
私も店舗の重要性は感じていた。ただし、実店舗を直接展開するのは莫大な時間とコストがかかる。だからこそ、「ネスカフェ システム インサイド」によって個人の喫茶店・カフェのオーナーをサポートをする形をとった。それぞれの店舗の個性や特徴はそのままとなるため、統一された雰囲気をブランド化することはできないものの、「ネスカフェ」のコーヒーを提供すること、それ自体をブランドにするのである。
すでに、「カフェ ネスカフェ サテライト」という、既存の喫茶・外食事業者の方々で「カフェ ネスカフェ」のメニューやその他コンテンツを導入する店舗が、年内には100店を超える見込みだ。そして、3年で1000店舗を見込んでいる。現在、スターバックスの店舗数が1000店であることを考えれば、相当のインパクトである。
新店ではなく看板を変えるだけで対応できるため、出店スピードは早い。大きな設備投資も必要ない。オーナーは「ネスカフェ」のコーヒーとマシンを導入するだけでよい。お互いに相当のメリットが生まれる仕組みと言える。
今後は「カフェ ネスカフェ サテライト」店舗で楽しめるデジタルコミュニケーションを開発していく予定だ。
次回更新は、11月15日(金)を予定。
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「社会の大きな変化に目を向けよ 消費者はデータから見えない」を寄稿!
「顧客を読むマーケティング」『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』(2013年10月号)
成熟市場における消費者の嗜好は、かつてないほど多様化している。消費者のニーズは一人ひとりすべて異なると考えられ、いち早く察知することに企業は躍起になっている。くわえて、ビッグデータなど情報収集ツールの進化によって、個人の消費活動が詳細かつ正確に捕捉できるようになったことも、その傾向に拍車をかけている。
しかし、本当にそれで消費者の心を射止めることができるのか。消費者は自分自身の本心を把握しているとは限らない。気づいていないことは、いくら聞かれても答えられないのである。マーケティング・リサーチの結果をうのみにすることは危険である。本稿では、むしろ人間の本質を見極めたうえで、社会の環境変化からニーズの変化を探り当てることが大切であり、それこそが本来のマーケティングであると説く。
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