12月1日から本格的にはじまった、大学3年生の就職活動。女子大でも教鞭をとるジャーナリスト・白河桃子さんと女性の活躍推進政策をすすめる経済産業省・坂本里和さんに女性の働き方について語ってもらう後編。前編では、これからの女子の働き方や女子が就職すると理想的な働き方ができる“ホワイト企業”について紹介していただいた。今回の後編では、女性が働き続けるために、就活前に知っておくべきことを話してもらった!
女性にやさしい企業ばかりが損をする?
今や、大企業で働く女性の15%が育休や産休を取っている!
坂本里和さん(以下、坂本) 最近の大企業は、“女性に優しい”企業が多くなっています。産休はもちろん、育休も、時短勤務も長くとれるので、女性が「子どもを産んで、働き続けられる」土壌はほぼできています。でも、それだけでは女性が企業に貢献しているという実感は得られないし、企業も余裕がなくなると続けられなくなります。ですから、今後のことを考えると、女性側のモチベーションと企業側の経営的な理由の両面から見て、持続可能性のある形にしないといけませんね。
東京都生まれ。慶應大学文学部卒。少子化ジャーナリスト、作家、大学講師。「女性が輝く社会のあり方研究会」委員。2008年刊行した山田昌弘氏との共著『「婚活」時代』(ディスカバー携書)が20万部を超えるベストセラーに。主な著書に、『「婚活症候群』(ディズカバー携書)、『「妊活」バイブル 晩婚と少子化時代に生きる女のライフプランニング』(講談社プラスアルファ新書)、『女子と就活 20代からの就・妊・婚講座』(中公新書ラクレ)、『格付けしあう女たち 「女子カースト」の実態』(ポプラ新書)ほか多数。
白河桃子さん(以下、白河) 実は今、大企業では、恒常的に約15%の人が育休や産休をとっているか、時短勤務をしていると言われています。女性に優しい企業であることって、企業にとっては辛い選択でもあるんですよ。正直、女性のローパフォーマー化が問題視されています。
でも、「こんなに産んで働く女性がいるとは!」というのは、制度を設計する企業側の想像力のなさが招いたもの。「マンガの“働きマン”にでてくるような仕事が好きな女は、いつまででも男と同じように働くだろう」と思っていたわけですから。そんなことないんですよ。出産にリミットがあることを知っている女性たちは、産むときは産むんです(笑)。
坂本 そうですよね。ですからこれからは、女性に男性と同じような働き方を押し付けるのではなく、逆に女性を優遇するのでもなく、女性の力を新しい形で活用するためにも、仕事の効率を上げる方法を考えなくてはならないと思います。もちろん男性にも。そういう良い会社がもっと増えるべきですね。
白河 適材適所で人材を活用できる会社は伸びますからね。ホワイト企業には将来性も期待できると思います。それに、働き方そのものを見直すと、女性だけを優遇する必要もなくなるんですよ。男性も女性も、無理なく、肩身の狭い思いをすることもなく、いきいきと働けるようになるはずです。そうでないと、これまでのような“女性に優しいダイバーシティ”を実践する企業側ばかりが損をすることになってしまいます。
それに、女性が正規労働市場から退場してしまうと、納税も減るし、老後蓄えがないために自活できない女性が増える可能性もあります。ホワイト企業が増えることは、日本という国にとってもメリットがあるんです。