砂漠化が進むシルクロードで植樹を行なう関係者。画期的な化学物質「ALA」は、ビジネス面ばかりでなく、今後このような地域の「緑化」にも大きく貢献できるはず。
エコカード基金によるコスモ石油の環境貢献は、想像以上に徹底している。海面上昇で水質汚濁に悩むツバルでは、コスモ石油のタンクローリーが給水車に衣替えして活躍。

 「コスモ石油が育毛剤の製造・販売を行なうらしい」。

 この11月末、こんなニュースが話題になった。石油の元売り会社と育毛剤とは、どう考えてもイメージが結びつかない。いったいどういうことなのか?

 実は彼らは、3年前から美容室向け化粧品大手のミルボンと共同で、育毛剤の研究開発を続けてきた。この度、共同事業契約を締結し、医薬部外品の認可を厚生労働省へ申請するという。認可が降りれば、ミルボンが顧客に持つ約3万5000軒の美容室へ提供されることになるというから、大きなビジネスチャンスだ。

 この育毛剤のスゴイところは、毛根細胞に直接浸透して活性化させること。頭皮の脂の除去や血行の改善を主な目的とする従来の育毛剤より、育毛作用はかなり強そうだ。思わぬ強力なライバルの出現に、育毛剤各社は戦々恐々だろう。

植物の育成や人間の育毛にも効く!
アミノレブリン酸の驚異の実力

 その育毛作用の秘密は、原料となる「5-アミノレブリン酸」(ALA)という化学物質にある。これはどんな原料なのか?

 意外なことに、「その研究開発は、同社の主力事業であるガソリンとは直接関係のないきっかけから始まった」(コスモ石油)という。以前、研究室のある職員が、自由研究中にALAに注目したのが始まりだった。研究の結果、これを薄めて使うと、植物の光合成の能力を増強し、成長を促進させることがわかったのだ。

 その後、従来の化学法と比べて安く高スペックに生産できる「醗酵法」が考案されたことにより、ALAの大量生産が可能になった。

 そこで同社は、ALAを配合した液体肥料「ペンタキープシリーズ」を発売。さらに研究が進められた結果、「実は鉄と結び付くことで人間の育毛効果もある」ということがわかったため、育毛剤の研究開発にも着手したというわけだ。