「通信料金って税金みたいなものだよね」

 知人との雑談で、そんな話題になった。確かに、いまや月々1万円近いお金を、無思考かつ無条件に拠出するアテは、ほとんどない。

 携帯電話が使えなくなれば、確かに困る。だから相応の料金を払うのは当然だ。ただ、そのお金が具体的にどのように使われているのか、調べようとする消費者は少ない。それに、具体的に調べる手段も、多くは提供されていない。

 売上や利益の大まかな構造は、IR資料で開示されてはいるものの、いわば「大分類」程度である。実際のネットワークの構造やその費用、通信事業者が得る収益など、「小分類」について、その詳細は分からないままだ。

 しかし、消費者の沈黙をもって、通信料金(そしてその実体である通信サービス)が受け入れられていると、考えるべきなのだろうか。多くの消費者はすでに相応に高いと感じており、一定程度の不満は持っているはずだ。実際、「通信料金を下げる!」といった特集を組む雑誌は、いつも販売好調らしい。

 冒頭に挙げた物言いも、実はしばしば耳にする。だからこそ、通信障害や、信用情報の取り扱いに問題が起きたとき、「(高い料金を払っているのに)通信事業者は何をしているんだ」という声が、そこはかとなく広がるのだろう。矢継ぎ早に投入される新製品のけたたましい宣伝文句に、なんとなくかき消されていくのも、また現実なのだが。

シナジーって一体なんだろう?

 通信事業者によるM&Aのニュースからも、似たようなことを感じる。

 たとえば先日、NTTドコモが、料理教室「ABCクッキングスタジオ」を展開する(株)ABC HOLDINGSの買収を発表した。2014年1月までに発行済み株式の過半数を取得するという。