深い失望――。みずほ銀行が暴力団への融資を放置していた問題で、監督当局の金融庁が年の瀬に送ったメッセージは、行政処分の内容以上に重く、また痛烈なものだった。
12月26日、金融庁はみずほ銀行に対し、問題となった提携ローンの1カ月間の業務停止と合わせて、経営管理態勢(ガバナンス)の強化を促す2度目の業務改善命令を下した。
今年9月末に続いて、わずか3カ月の間に同じ問題で2度も行政処分をする異例さと、一部業務停止にまで踏み込んだ対応は、ずさんな検査との批判にさらされた金融庁が、「怒りの鉄槌」を下したとみる関係者は少なくない。
その一方で、当の金融庁から聞こえてくるのは、みずほに対して怒りを通り越し、半ば突き放したかのような声だ。
麻生太郎金融相が26日に、「(みずほ銀が当初、情報は担当役員止まりだったと)虚偽報告をしたので処分は当然だ」と、会見で発言したことからも、みずほに対する金融庁の目線が透けて見える。が、それ以上に当局としての失望の大きさを、よく表しているのは、今回の行政処分の理由だ。
九つある処分理由の7番目には、こう書かれている。
「取締役会は、重要事項の審議を行う会議体として、実質的な議論をほとんど行っておらず、その機能を発揮していない」
換言すれば、取締役会が形骸化しており、ガバナンスがほぼ崩壊していたと言っているに等しい。行政処分に伴って、ここまで辛辣な表現を金融庁が使うのは、これもまた異例だ。
金融庁の幹部によれば、庁内でもこの文言をめぐって議論があったというが、庁内から漏れるため息の大きさと、日本を代表するメガバンクとして「あまりにお粗末」(同)な態勢を目の当たりにし、あえて厳しい表現を使ったという。
金融庁は、11月5日からの再検査の中でも、2011年に発生したシステム障害を含め、長年にわたるみずほのガバナンスの欠如を厳しく指摘している。