まず、充填時にあまりに人手がかかるのに耐えられなくなりました。さらには、普通酒そのものが価格競争のなかでまったく売れなくなりました。
紙製品を扱っていた取引先に、商品の打ち切りをお詫びに行くと、「うちがせっかく売ってやっているのに、やめるとはなんだ!」と怒られました。しかし、「企業の身を削って」ときれいごとを言ったところで、つまるところ、費用をお客様にご負担いただけなければ倒産します。
しかも、あれだけ「酒が売れないから仕事がない」と嘆いていた古参の瓶詰め部門の社員たちが、実際に忙しくなると、みな辞めてしまいました。
結局、減り続けている地方の普通酒市場を相手に商売を続けている限り、小手先の工夫をしたところで、焼け石に水。なんの解決にもならない。そう思い知らされた出来事でした。
抜本的な過一句の必要性を痛感し、この後、純米大吟醸造りに邁進することになります。
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