年末に流れた追加人員削減の報
ソニーを悩ませる競争力低下の原因
昨年12月31日、ソニーが国内家電事業の追加人員削減を行うことが明らかになった。同社は2012年度に1万人の従業員の削減を行っており、デジカメやテレビなど家電事業の回復の遅れによる追加措置を余儀なくされた。
実際には、子会社であるソニーイーエムエスシーが持つ愛知県や長野県などの5工場で働く、勤続10年以上で40歳以上の中堅社員や管理職が対象となる。削減人員は数百人規模となる見込みだ。
わが国経済が徐々に回復への道を歩む中で、家電メーカーの中核とも言うべきソニーがリストラを行うことは、わが国家電メーカーの抱える問題点を浮き彫りにする出来事と言えるだろう。
同社の追加リストラ策の背景には、2つの要因がある。1つは、今後新興国の景気減速などによってコンパクトデジカメやテレビ、パソコンなどの需要が低迷することが予想されることだ。そうした需要環境の変化は、ソニーだけの問題ではなく世界的な家電メーカーが共通して抱える問題だ。
もう1つは、わが国家電メーカーの国際的な競争力が低下していることだ。最近のわが国家電メーカーは、国際市場での激しい競争の中でかつてのような明確な優位性を示すことができなくなっている。注目度の高いスマートフォンやタブレットPCなどではアップルやサムスンに勝てず、家庭用の一部の家電製品でもフィリップスやダイソン、アイロボットなどの後塵を拝する構図になっている。
そうしたわが国家電メーカーの低迷は、足もとの為替市場で円安が進んだにもかかわらず、貿易赤字が定着しつつあるわが国の経済状況の1つの象徴とも言える。今のところ、わが国家電メーカーの復活への道が見えない状況だ。