中古マンション流通量
少ない2つの理由

 日本の中古住宅(戸建て含む)の流通量は、アメリカに比べて15分の1から18分の1程度だと推定されている。人口も違い、国土の広さも違うため、単純な比較は乱暴だが、だいぶ少ないという認識で間違いない。

 その理由はいくつか考えられる。

 まず、第一に日本人特有の「新築思考」が挙げられる。世界でも珍しい割りばしを使う習慣に代表されるように、「誰も使っていない」ことに美徳を感じる思考は、日本固有のものといえよう。

 第二に、日本における中古住宅売買市場の整備の遅れが挙げられる。より端的に言えば、「不透明であること」だ。つまり自己所有住宅を売ろうと思い、仲介会社に査定してもらい募集(売り出し)価格を決めるが、この査定価格が適正かは、売り主にはわからない。一方で、買い主も、仲介業者が提示する価格が、市場の状況から考えて適正なのか分からない。売る側、買う側の双方のこうした不安や悩みに応える機能が、これまでの中古住宅市場には存在しなかった。

 実はこうした問題点は、業界内では認識されていた。国土交通省(当時建設省)は価格適正化を図るために、以前から不動産流通機構を指定業者として、『レインズ(REINS:Real Estate Information Network System、不動産流通標準情報システム)という機関を立ち上げている。レインズは地域ごと、例えば北海道から首都圏は東日本不動産流通機構(平成2年設立)が運営している。

 レインズでは現在売りに出されている物件の閲覧と売買成約時の金額を知ることができる。しかし、レインズは宅建業登録業者のみが利用でき、一般の売り主や買い主は見ることができない。

 そもそも、レインズも不完全だ。仲介業者は売却仲介の契約を売り主と交わした際に、このレインズに登録しなければならないと宅建業法で決められているため、物件自体はすべて掲載されている(はずだ)。しかし困ったことに、売買成約時の金額については、義務とされていないため、掲載が進んでいない。

 一般的に日本の中古住宅の場合、募集(売り出し)価格から割り引かれた金額で売買成立することがほとんどである。そのため、いまのレインズでは「募集(売り出し)価格はわかるが、「実際にいくらで売れたのか」が分からない。

 このように中古マンションがいくらで売れたのか、換言すれば「今、自分の所有するマンションがいくらで売れるのか」は、一般の人にはわかりにくいのだ。