検証委の基本方針は、「大川小学校事故検証委員会設置要綱」で規定されている。検証委が発足した昨年2月7日の第1回会合時に配布された。この要綱を定めたのは、社会安全研究所だ。

 要綱では、検証委員会について、「委員及び調査委員で構成」と規定している。その委員・調査委員については、「別紙の通り、検証に必要な学識経験その他専門性を有する者により構成」とし、別紙に委員名簿がある。

 事務局については、要綱には「検証委員会の事務局は、株式会社社会安全研究所に置く」という第12条の一文があるだけ。同検証委の位置づけ・体制を記したイメージ図(別の資料)のなかで、事務局は市との委託契約を受け、「検証委員会運営」とのみ記されている。

 首藤所長は29日の報告会でも、「事務局は、検証委員会の事務局なので、委員会と一体的である」との“独自見解”を示した。

 だが、学校での事件・事故の検証に詳しい京都精華大学の住友剛准教授は、この「一体説」に首をかしげる。

 「ご遺族が指摘する通り、委員及び調査委員を規定した要綱第五条からは検証委と事務局が“一体”であるとはどうやっても読み取れません。組織を規定した条文にも、事務局は出てきていません」

 検証委の位置づけ・体制を記したイメージ図には、検証における関係者が明示されている。だが、そこでも、検証委員会と事務局は完全に別枠となっており、やはり事務局が主張する一体説との整合性がとれない。

 社会安全研究所が、石巻市との契約時に交わした仕様書にも、委員会と事務局が一体とする根拠は見あたらない。

 住友氏によると、最近のいじめ自殺や学校事故等で設置される調査委員会の場合、事務局を首長部局に置くか教委に置くか、事務局がどのような役割を担うか、設置前から遺族と行政側とでシビアな議論になる例があるという。

「委員会が事務局を通じて教育行政と密接な関係を持ち、事実の隠ぺい等を追認するような調査・検証が行われないよう、遺族が注意を払う必要があるからです。事務局の役割を、庶務や会計、文書管理等に限定する形で設置規則・要綱をつくった事例もあるくらいです」

 住友氏はまた、「規則や要綱で事務局の役割を明記すれば、その分だけ、委員会の主体性や責任、権限が明確になるはず」という。だが、大川小の検証委の要綱からはそうした体制を整えようメッセージは伝わってこない。

 ちなみに、遺族が指摘した上記の1〜5については、要綱では調査や報告、遺族への説明、文書作成は、あくまでも検証委員会が行うと規定している(第8条、第10条、第11条)。そして、その検証委員会とは、「委員及び調査委員で構成」(第5条)と定められている。

 検証作業は通常、要綱やその他取り決めに沿って進められる。つまり、要綱や取り決めにない範囲のことを行った場合、違反あるいは逸脱行為にあたるといえる。

国と県も要綱軽視の姿勢を追認
検証委員会の信頼性、一貫性に疑念も

 では、今回の大川小の検証委のように、事務局の作業範囲の規定がないからといって、調査時に、事務局が委員会の代行としてふるまうことは許されるのだろうか?