2010年度の調査で、奨学金を受給している学生の割合は大学生(昼間部)で50.7%、大学院修士課程で59.5%、大学院博士課程で65.5%となっている。奨学金利用者は、決して少数派ではない。

 では、若者が返還できない状況に陥るのはなぜなのか、どうすれば返還率を今後上げていけるのか。

学生集めに苦心する大学のPR策
公表される「高い就職率」の裏側

 『つまずかない大学選びのルール』(ディズカバー・トゥエンティワン)などの著書を持つNPO法人NEWVERYの理事長・山本繁氏は、自身のブログで「奨学金で人生を台無しにしない大学選び8つの鉄則」という記事を書いている。鉄則の5つ目に「就職実績を批判的に見る」という項目がある。

 なぜ、就職実績を批判的に見ることが重要なのか。たとえば、大学パンフレットに「就職率が95%以上」というデータが載っていたとしたら、多くの学生は「95%以上が就職できるなら、この大学に入った自分も、よほどのことがない限り就職できるだろう」と思うだろう。ただしこの就職率の算出方法は、「卒業者数を母数にして算出した就職率」ではなく、「就職希望者数を母数にして算出した就職率」になっていることがあるという。

「大学側は『この大学に入れば安心』『就職率の高い大学です』というアピールをしている」と山本氏。

 ここに受験生にとっての「落とし穴」がある。高い就職率をPRする大学に魅力を感じ、「就職できる」前提で奨学金を借りて、入学してしまう学生が多いのだ。ところが現実には、企業の人材ニーズが低い大学もあるため、中には卒業時に就職が決まらず、奨学金の返済に苦慮する人もいると思われる。

 大学の広報部が学生を集めるためにPRを行うことは当然だろうし、有名でない大学こそ、PRに力を入れないと学生が集まらない。2011年に文部科学省が発表したデータによれば、国内の大学数は780校(国公立181校、私立599校)で、1985年(国公立129校、私立331校)と比べてかなり増えていることがわかる。