2009年が始まりました。「今年はどんな年になるのだろうか」と期待に胸を膨らませている人たちも多くいるとは思います。
しかし、昨年から続いている金融危機の影響、突然発生した「派遣切り」(この言葉自体が無神経な言葉であり、使いたくない言葉ですが)の広がり、それに対する企業や政府の混乱ぶりなどを見ていくと、「社会全体の不安感」がますます広がっていくのではないかと思わざるを得ません。
現在、そんな懸念を多くの人たちが抱えているのではないでしょうか。
人々の気持ちが疲弊した企業社会
負の感情は負の感情を呼び起こす!
負の感情は、「負の感情の連鎖」を引き起こしていくもの。それが社会全体に広がると、正の感情を持っている人たちをも蝕んでしまいます。前向きに生きて行こうとしている人たちも、「社会全体を包み込む重苦しい空気を感じ、何か一歩踏み出せない」――そんな気持ちになってしまうのです。まさに、社会全体が委縮して行くのです。
そんな「負の感情」は、われわれが一日の大半を過ごしている「企業の職場」にも蔓延しています。そして未曾有の経済危機のなか、こうした負の感情の連鎖が止まらない企業や職場がますます増えて行くことでしょう。
「人に感情があるのと同じように、組織にも社会にも感情がある」――あなたはそう思ったことはないでしょうか。組織や社会の感情が、1人ひとりの意識や行動に影響を与えて行きます。社会全体がこうしたネガティブな状況に陥っているときこそ、組織における情報の伝え方や感情の伝え方が、重要になります。
たとえば、社会問題化している「派遣切り」を伝える企業側の話を聞くと、その背後にあるその人たちの生活や家族の生活を、思いやる気持ちが見えないケースが多い。そうせざるを得ない苦しみや悲しみが伝わって来ないのです。
企業にとって、派遣切りがあたかも「当然の権利」であるかのように、無感情な言葉だけが流れて行きます。本当は痛みを感じている人たちも多くいるでしょう。無感情を装わなければ、耐えられないのかも知れません。
しかし、こうした無感情な言葉が、逆に相手の怒りの感情を呼び起こしてしまうのです。