東京五輪組織委が目論む3つの
「オリンピック・レガシー」とは?

 世界最大のスポーツイベントであるオリンピック。開催都市や国に多くの分野でポジティブな影響をもたらす「五輪レガシー」を国際オリンピック委員会(IOC)は重要視しており、2012年のロンドン五輪以降、「五輪レガシー」は招致活動においても重要なポイントとなっている。

 施設やインフラの建設だけではなく、五輪を機に社会構造にも変化が生じることを一括りにして「レガシー」という言葉が用いられている。

 1月24日に発足したばかりの一般財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会のウェブサイトでは、このレガシーについての説明を確認することができる。

 大会終了後に競技会場をスポーツ・エンターテーメント施設として再利用し、選手村の跡地に文化・教育関連の一大拠点を設置する方向で検討が始まった「物理的レガシー」。市民の間でスポーツをより身近なものにして、健康的なライフスタイルを促進させる「スポーツのレガシー」。2020年までに東京に新たな緑地を創出し、100万本の植樹を通して環境に配慮した町づくりを推進する「重要な社会的及び環境関連の持続可能なレガシー」。これらが東京五輪レガシーの三本柱となる。

 しかし、レガシーは本来「負の遺産」という意味合いも持つ。

2004年アテネオリンピックから8年、かつてのオリンピック・ビレッジは無惨な姿をさらしている。典型的な負のレガシーを遺してしまった Photo:AP/AFLO

 施設などの建設から大会運営までの全てを含めると総額で約90億ユーロの予算が投じられた2004年のアテネ大会を例に挙げると、ギリシャが五輪開催後に欧州債務危機に見舞われた事情があるとはいえ、オリンピックのために建設された競技施設のその後は無残なものであった。

 2012年8月、AP通信は「アテネ大会から8年、荒廃する競技施設」と題した特集記事を発表。メンテナンスもされずに大量のカエルが住み着いたプールや、年に数度の野外コンサートにしか使われなくなったソフトボール場の様子を伝えている。

 ソフトボール人口が極めて少ないギリシャでは、アテネ大会後にソフトボール場を使う団体が現れず、新たな用途を見いだせないまま現在に至っている。

 響きこそいいものの、前述の東京五輪レガシーが都民から実際に支持されているのかどうかは見えてこない。加えて、東京で行う五輪とはいえ、東日本大震災の被災地を含む地方都市にとって、五輪がどれだけのメリットをもたらすのかも不透明だ。