外国人が利用しやすい
宿泊施設はまだ足りない

――2020年東京五輪後も官公庁が目標とする外国人観光客数をキープすることは可能なのか? また、五輪は日本への観光客を劇的に増加させる起爆剤となりうるのか?

仲伏氏 オリンピックといっても、海外からの訪問客はそれこそ何十万という単位なので、年間数千万人規模の増加を目指すには中長期的な計画が不可欠になってくる。

 オリンピック期間中の訪問者数そのものは少ないが、オリンピックに託けて観光立国化を加速・強化させることが、オリンピックの持つ経済効果に繋がっていく。現在の倍以上の観光客を受け入れる場合、地方都市に観光客をどのように分散させるかも重要な課題だ。地方空港の活用や外国人が利用しやすい宿泊施設を増やすことなどはまだ足りない。

――東京ではすでに数ヵ所で大規模な再開発事業がスタートしているが、2020年の東京は現在と比べてどのくらい様変わりするのか?

仲伏氏 インフラという大きな視点で考えた場合、7年で東京がそれほど大きく変わることはない。電線の地中化なども話としては出ているが、2020年までに東京の全てのエリアで地中化が完了することはまずないと思う。

 デジタルサイネージを活用した観光案内や、外国人観光客向けの自動翻訳技術といった、ICT系のインフラは大きく伸びるのではないだろうか。

 東京全体が大きく様変わりするわけではないが、選手村周辺をスマートシティとして先進的なモデルにし、その先を見据えることが重要だ。2020年以降、スマートシティのコンセプトが地方に広がったり、世界に向けて輸出されたりする可能性はある。

東京にもたらすレガシーは
正か、それとも負か――

 オリンピックは東京を、そして日本をどう変え、どのようなレガシーを残すのか。そのレガシーは正か、それとも負か――。

 本格的な動きはこれからだが、手始めに政府は、外国人労働者への門戸を大きく開く検討を始めている。これもまた、ある意味「オリンピック・レガシー」の一つと言えるだろう。

 24日、政府は外国人労働者受け入れの大幅な規制緩和について検討する閣僚会議を開き、まずは建設業を対象にした対応策が3月末までに発表される見通しだ。

 すでに東日本大震災の復興事業や安倍政権発足後の公共事業の増加によって、業界内では、以前から現場における「人不足」が問題視されてきたが、東京五輪開催によって都内でも関連工事の増加が確実となったため、縮小傾向にあった建設業界で人材確保は死活問題へと変貌したのだ。

 すでに新聞等で報じられている情報によれば、政府は技能労働者の入国条件を緩和するほか、単純労働者の入国も条件付きで可能とする方向で動いており、建設業を皮切りに他の分野においても外国人労働者の門戸開放を推し進めていく見通しだ。

 少々大げさかもしれないが、東京五輪がきっかけとなり国内の労働構造が大きな転換期を迎える可能性すらあるのだ。

 しかし、市場の雇用バランスが崩壊する危険性や、高齢化が進む日本でシニア世代をもっと活用すべきといった指摘も存在する。