高速道路を例に挙げたが、大会終了後はトンネルや橋の建設は継続的に進められたため、老朽化したインフラはなにも高速道だけではなく、そのときに整備された学校、病院、公営住宅などもそうだ。老朽化は高速道路だけの話ではない。

 偶然とはいえ、1964年大会の前後に整備されたインフラが、再び東京で開催される2020年大会の前後から老朽化のピークを迎え始めるという現実。政府や各自治体はどのように対応すべきなのか。

 今回は公民連携や地域再生を専門とする東洋大学経済学部の根本祐二教授に話を聞いた。根本教授は日本政策投資銀行に勤務後、2006年の東洋大学による日本初となる公民連携(PPP)専門大学院の開設を機に同大学の経済学部教授に就任。現在は大学内に設けられたPPP研究センターでセンター長も兼任する。

膨らむインフラ保全費用
毎年8.1兆円が必要

――日本国内に存在する老朽化したインフラは実際にどれくらいの規模なのか?

 データが存在しないため、老朽化したインフラだけを数えることはできないが、今存在するものを今の規模で更新していくためには年間8.1兆円のコストがかかる。

 国と地方の公共投資の予算だが、景気対策時のものを除外した場合、年間で約20兆円(名目GDP)になる。このうち約2兆円が既存のものを作り変える予算として使われているが、老朽化したインフラに対応するためには年間でさらに6兆円が必要になる。

 つまり、老朽化インフラ保全対策を完璧にこなすためには、数字の上では現在よりも30%予算増が必要になるわけだ。加えて、保全対策は1~2年といった短いスパンではなく、ずっとやり続けなければならない。

 アベノミクスでは国債発行などによって予算の30%増を確保しようと努めているが、そのアプローチは間違いで、予算ではなく生産性を30%引き上げることが重要なのだ