三田 堀江さんの『ゼロ』も、自伝とも違うし、ハウツー本とも違うし、非常におもしろい構造になった本です。

堀江 嬉しいのは、最近になってようやく女性読者が増えてきたこと。男性だけにウケる本にはしたくなかったので。

三田 マンガも女性ファンが買ってくれないと、大ヒットにはなりにくい。消費を牽引しているのは女性たちですよ。

堀江 そう、あの『進撃の巨人』も、意外と女性ファンが多いらしいですね。

堀江少年の
意外な趣味とは?

三田 でも、若くて多感な時期に堀江さんの『ゼロ』を読める学生たちはラッキーですね。

堀江 僕も若い人たちにはすごく期待をしていて。国や組織が大きく変わるときって、仕組みはシンプルなんです。要するに若い世代が年寄りをパージして、自分たちの手でゼロからつくりなおしていけばいいんですよ。明治維新なんかは典型的なパターンで、維新の志士たちは「若いのにすごかった」のではなく、「若かったからすごかった」と考えるべきなんです。

三田 逆にいちばんよくないのが、いつまでも年寄りが上に居座る社会。

堀江 実際、『インベスターZ』みたいに投資に興味を持つ子どもたちは増えていますよ。それなのに学校教育の中には、お金や経済の授業がない。これって、どうしてなんでしょう?

三田 やっぱり日本人的な「お金は汚い」の価値観が根強いんじゃないですか。うちの実家は商売人の家系なんですよ。実家は洋品店だし、親戚もみんな商売人で。だからお正月に親戚が集まると「あの信用金庫の支店長は審査が甘い」とか、「あそこの銀行の課長がムカつく」とかそんな話ばっかりで(笑)。

堀江 ははははは。

三田 おかげで、子どもながらに「お金を稼ぐこと」や「お金を借りること」へのアレルギーはゼロでしたね。

堀江 僕の家とは真逆ですね。うちは、お金の話といえば「貯金しろ」だけでしたから。

三田 子どものころ、欲しかったものとかありましたか?

堀江 ミニ地下鉄とかつくりたかったですね。

三田 地下鉄?

堀江 そうなんです。普通の鉄道模型じゃなくって、地下に鉄道をつくりたかった。なんか、やたらと地下が好きで、実家で地下室とか掘ってましたから。

三田 へええ、おもしろいなあ。

堀江 家の庭をひたすら掘り返して、でっかい穴ぐらをつくるんです。レンガやセメントがあればもう少し立派な地下室になったんですけど。地下道とか、いまでもすごい興味ありますね。

三田 そういえば『インベスターZ』でも、秘密の地下室に投資部の部室があるんです。

堀江 ええ、ええ。ああいう設定はすごく好きです。

三田 なるほどなあ。そういう「地下室を掘りたい!」みたいな未知なるものへの好奇心が堀江さんを支えてきたんでしょうね。

堀江 それを言うならマンガ家さんの若さとか好奇心だってすごいですよ。僕の知ってるベテランの有名マンガ家さんなんか、「自分の夢は長澤まさみちゃんと堀北真希ちゃんを左右にはべらせることだ」と豪語してて。

三田 ……その人、知ってる気がします(笑)。

堀江 20代の草食系男子に聞かせてやりたいですよ(笑)。ああいうバイタリティを持った人が世の中を変えていくんだと。

三田 飽くなきバイタリティですね。