東大受験と
ベンチャー投資の類似性

堀江 でも、あれだけ忙しかったのにトークイベントをお引き受けしたのは、それだけ『ドラゴン桜』に感激したからなんです。「東大なんて簡単だ」というテーマは本当にその通りだし、東大ほど世間的なレピュテーション(評価)と実像が乖離している大学はありませんから。まさに「我が意を得たり」の気分でした。

三田 東大生はみんなそう言いますね。

第5回<br />[三田紀房✕堀江貴文 対談]<br />小利口なヤツになるな。行動できる「バカ」になろう!堀江貴文(ほりえ・たかふみ)
1972年福岡県八女市生まれ。実業家。元・株式会社ライブドア代表取締役CEO。民間でのロケット開発を行うSNS株式会社ファウンダー。東京大学在学中の1996年、23歳のときに有限会社オン・ザ・エッヂ(後のライブドア)を起業。2000年、東証マザーズ上場。2004年から05年にかけて、近鉄バファローズやニッポン放送の買収、衆議院総選挙への立候補などといった世間を賑わせる行動で一気に時代の寵児となる。しかし2006年1月、証券取引法違反で東京地検特捜部に逮捕され懲役2年6ヵ月の実刑判決を下される。2013年11月に刑期を終了し、ふたたび自由の身となって「ゼロ」からの新たなスタートを切ったばかり。

堀江 どうせ1年間受験勉強に費やすのなら、東大ほどお得な大学はないんですよ。費用対効果はめちゃくちゃ高いですから。

三田 たしかに「東大出身」という金看板で生涯にわたって得られるリターンは、途方もなく大きい。5万円の株が100万円になるようなものです。

堀江 投資に関連づけて言うと、僕もよく「どの株を買えばいいですか?」って聞かれるんですよ。でも上場株なんてダメなんですよね。同じ条件で勝負するんなら、大きな資本を持ってるヤツが勝ちます。

三田 素手で殴り合ってるようなものですからね。

堀江 そう。だからスタートアップのベンチャーに投資するのがいちばんなんですよ。でも世間の人は「ベンチャー投資なんてギャンブルでしょ?」と怯えてる。いやいや、そんなことないって。僕はほぼ100パーセント当ててますから。

三田 東大受験はベンチャー投資みたいな感覚なんですね。

堀江 そうなんです。みんなが「東大なんて無理に決まってる」と敬遠しているからこそ、僕みたいな人間が入り込む余地が出てくる。

三田 そういう発想を高校時代から持っていたのは、まさに『インベスターZ』の世界ですね。

堀江 だからゼロベースで考えろということですよね。『ドラゴン桜』から『インベスターZ』まで、三田さんのマンガって常識を疑って、自分の頭で物事の仕組みを考えるところからスタートするじゃないですか。それができてない人が多すぎる。

三田 それってむずかしい問題で、ゼロベースで考えるって面倒くさいんですよ。できあがったレールに乗っかったほうが楽なんです。

堀江 ええーっ、そんなに面倒くさいですか?

三田 いやいや、そう思うのは堀江さんが超人だからですよ(笑)。普通の人には面倒くさいし、勇気がいることです。

堀江 そうなのかなあ。でも、三田さんもマンガ家になるにあたって、ゼロベースで戦略的に考えたんじゃないですか?

三田 まあ、そうですね。新人賞の傾向と対策を考えて。序盤でコミカルなシーンを見せて、終盤にホロッとさせるようなクライマックスがあって、センチメンタルな結末を迎えればいいんだな、とか(笑)。

堀江 いま「マンガHONZ」というキュレーションサイトを立ち上げて、人気作だけじゃなく、知られざる名作を掘り起こしていこうと思っているんですよ。

三田 それはいい試みですね。

堀江 やっぱりマンガも数が多すぎて、みんな本当におもしろい作品にたどり着けずにいる。マンガの世界こそキュレーションが必要だと思っています。