

そしてノキア自身も、そうしたコモディティ化を推し進める一人である。マイクロソフト傘下に入った彼らが、今回のMWC2014でAndroid搭載の端末を発表し、一部で耳目を集めた。しかし会場での彼らの様子を見ると、もはや「そんなことはどうでもいい」というくらい、コモディティとしてのモバイルに、舵を切っているように見えた。
実際、ノキアは、WindowsPhoneからフィーチャーフォンに至るまで、様々なラインナップを揃えている。そして共通しているのは、性能ではなくライフスタイルやデザインの提案を、アピールポイントにしているということだ。
この傾向は、MWC2013あたりから顕著になったが、今年はさらに拍車がかかったようで、ブース内を歩いていても、端末以上に目立っていたのはアプリやアクセサリーだった。全体に何か「吹っ切れた」印象を受けた。
もちろん、ノキアが「やけくそ」になっている、というわけではないだろう(その可能性もゼロではないが)。おそらくは先進国も含めスマートフォンがコモディティ化していく潮流を見切って、訴求すべき競争優位性の軸足を変えたということなのだろう。そしてその軸足の一つである「デザイン」が見事に表現されている。それが、ノキアから感じた割り切りの良さの源泉でもある。
コモディティ化には時期尚早では、と思われるかもしれない。しかし気がつけば初代iPhoneが発表されて、今年でもう7年。日本で3Gが本格化してから、いわゆるガラケーが市場を完全に掌握したのも、同じく約7年。日本は残念ながらリーマンショックがあった2008年以降、経済社会が低迷していたが、一定程度の経済成長が存在する世界では、7年あれば世の中が一巡し、次のパラダイムへ進むのだろう。
では、その新しいパラダイムとは、何なのか。そしてその動きに日本勢はキャッチアップできるのか――紙幅がなくなってしまったので、次回はこのあたりの話を中心に、ザッカーバーグの思惑やMWCコミュニティの反応、またTizenやFirefoxOSなど、第3のOSについて触れたい。なんとか来週半ばの更新を目指して…。
一点だけ次回予告として、MWC2014の日本勢の状況に触れておくと、今年は「ダメダメ」だったと、私は感じている。少なくとも端末の世界に関しては、勝負あったのかもしれない。