Aさんは結局何も答えないので、質問をしたイギリス人は反応のしようがなく、そこで会話は途切れてしまいました。

 一方、Bさんは、日本語で考えて、何とか答えようとしていました。

イギリス人:Why do Japanese take off shoes before entering a house?

Bさん:(あわわ、あわわ、えっと、靴を脱ぐのは……。日本は雨が多いから靴が濡れて、家が汚れるからかなあ。雨は「rain」で、濡れるは「wet」だから……)

イギリス人: ……。

Bさん:Because it rains a lot in Japan. Shoes... (日本では雨がたくさん降るからですよ。靴が……)

イギリス人: Ah, I got it. It makes sense to take off muddy and wet shoes.(ああ、わかった。泥で汚れたり濡れたりした靴を脱ぐのは、そりゃそうだね)

 結局、この場合も、「あわわ、あわわ」と間は空きます。でも、Bさんはその間に“考えている”ので、単に間が空いてしまったわけではありません。Bさんは、不完全な文でありながらも自分の考えを言えたので、コミュニケーションが成立しています。
 しかも、“muddy and wet shoes”という、このときは言えなかった表現を生で耳にすることができたので、思わぬ収穫もありました。